ステーキを焼くとき、塩を振るのはいつが良い?塩を塗ると肉はこうなる

1センチ以上もの厚さのステーキ肉。それをこれから焼くとして、味付けはどうしますか?

ステーキの味付けで、地味に悩むのが「塩を振るタイミング」。焼く直前に振ると味が浸透しないし、かといって塩を振って置いておくと水分が出てくるため、「せっかくのお肉が硬くなっちゃうんじゃない…?」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、塩を振ったあと置いておくことで、味が染み込んだ肉汁たっぷりのステーキを焼けるかもしれないんです!

肉に塩を塗るのはどんな意味がある?

塩は肉に味をつけるだけではありません。塩を使用することで、肉の中にある細菌の増殖を防ぐ働きもあります。

サラミなどの加工肉は、塩を混ぜることにより肉に含まれる水分をより早く蒸発される役割も。たとえば生ハムでは、製造する際に肉を塩漬けすると、2週間後には重さの4%の水分が蒸発します。そして3ヶ月後には、10%の重さの水分が肉から抜けていきます。

しかしこれはあくまでも長期の保存される加工肉の場合。ステーキを焼くときに塩をその表面に塗布しても、水分が急激に蒸発することはありません。

肉に塩を塗布するとなにが起こるのか

塩を塗り込むとまず、肉の線維が変質をはじめ、繊維と繊維のあいだに空間が発生します。筋繊維は、アクチンとミオシンという主なふたつのたんぱく質から構成されていますが、ミオシンは塩に触れると容易に溶解する性質があります。

塩の成分によって繊維のあいだに空間が生まれミオシンが溶けると、塩分はふたたび水分とともに繊維のより深くに浸透します。塩味がしっかり肉に染み込んでくれるんですね。

1cmの厚さのステーキであれば、この現象が完了するのにおよそ40分。

この肉を焼くと、肉の線維のあいだに浸透したナトリウムと塩化物イオンが、肉の凝縮や水分の流失からたんぱく質を保護する働きをしてくれます。また、溶解したたんぱく質も肉汁の中に閉じこめることができます。つまり、旨味のたっぷり詰まったステーキが焼ける可能性が高いんです!

焼くときの注意は、水分を拭き取ってからフライパンに乗せること。水分が表面に付着したまま肉を焼くと、ステーキのおいしさを引き立てる焦げ目や表面のカリカリ感がなくなります。水分が付着したまま調理をすると調理温度が下がり、いわゆる肉の「焦げ目」や「香ばしさ」を作り出すメイラード反応が低下するためです。

塩を塗る際は、味を深く均等に染み込ませるため、肉の両面に塗るのがポイント。また、岩塩やマルドンのクリスタルソルトといった自然塩を使用すると、構造上、塩の面がより肉の表面に触れて少量の塩でもほどよい味つけになりますよ!

参考:
l segreto di una buona bistecca (ma non solo) si chiama Maillard – Scienza in cucina – Blog – Le Scienze
Come cuocere la bistecca alla perfezione – La Cucina Italiana

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