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煮物の具材を美味しくするのは硬水?水の違いを料理に活かす

煮物

硬水と軟水の違いをご存知ですか?マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分が多く含まれているのが硬水、こうした金属イオンの含有量が低いものが軟水です。

日本の水は南西諸島や本州の一部を除いてほとんどが軟水ですが、エビアン、コントレックスなど輸入物のミネラルウォーターはほとんどが硬水。ミネラル分を手軽に補給できることから人気を集めています。

和食のだしを取る場合は、硬水よりも軟水のほうが適しているという結果が、味覚センサーレオの実験で出ています。しかし、せっかくだから料理にもミネラルウォーターを使用してミネラル分を補給したい!と考えている方もいらっしゃるでしょう。

そんなあなたに朗報です。「ほどほどの硬水」が、煮物の具材を美味しくしてくれるかもしれません。

具材を煮るなら「ほどほどの硬水」が良い?

東京農業大学の鈴野弘子らの実験[*]によると、牛肉は水道水や軟水で調理するより、硬水のエビアンで煮込んだ方が柔らかくジューシーになり、うまみも増すという結果が出ています。

実験は軟水のルソ(硬度5.8)、水道水(硬度44.7)と硬水のエビアン(硬度356.0)、コントレックス(硬度1135.0)を使って行われました。牛もも肉、鶏もも肉、じゃがいもを水煮した際の煮汁や、具材の硬さ・ジューシーさ・うま味の強さといった官能評価が行われています。

牛肉、鶏肉において有意に差があったのは主にエビアンまでの硬度と、コントレックスとの間です。

お湯で煮る

牛肉、鶏肉ともにエビアンで煮た場合は柔らかく、ジューシーでうま味が強いという官能評価が得られています。しかし、コントレックスでは硬く、うま味が少ないという結果に。

また、鶏肉に関してはエビアンのほうがルソよりジューシーであるという評価が得られており、エビアンのようなほどほどの硬度を持つ硬水で煮ることで、鶏肉の美味しさを引き出せる可能性が示されています。

一方じゃがいもは軟水で煮ることによって柔らかくなり、硬水では硬くうま味が減少。ルソで煮るとジャガイモがやわらかくなり、エビアンでは硬さとうま味が増し、コントレックスでは硬くうま味が減っています。

これらの結果を考えると、コントレックス(硬度1135.0)のような非常に硬度の高い硬水で具材を煮るのはNGですが、エビアン(硬度356.0)程度の硬水で煮れば、煮崩れしにくく美味しい煮物が出来上がると言えるでしょう。

野菜を煮るときは、ルソ(硬度5.8)のような軟水を使用すると、崩れやすくはなるものの柔らかい仕上がりになりそうですね。

煮物

肉とじゃがいもを同時に煮込む場合は、マグネシウムとカルシウムの成分が多すぎない、硬度300~400mg/l程度のほどほどの硬水を使うことで、煮崩れしにくくおいしい煮物ができるようです。ちなみに、ナトリウムの含有量が多いか少ないかは硬水軟水の定義に関係しません。

硬水の性質をうまく料理に活かしてみてくださいね!

参考:
*日本調理科学会誌 Vol. 46,No. 3,161~169(2013)
水の硬度が牛肉,鶏肉およびじゃがいもの水煮に及ぼす影響 Effect of Water Hardness on the Boiled Beef, Chicken and Potato

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