魚やクルミなどに含まれる「オメガ3系脂肪酸」は、一般的に「血流をよくする」という効果が期待されています。
そして最新の研究では、不安症状を軽減してくれる可能性も示唆されているんです。しかも、その科学的根拠は、もっとも質が高いとされるメタアナリシスによって確認されたそうです。
オメガ3系脂肪酸とは
オメガ3系脂肪酸は、さまざまな身体機能や細胞の成長、脳の発達などにかかわる、多価不飽和脂肪酸の一種です。そのなかで代表的なのは、αリノレン酸（ALA）、エイコサペンタエン酸（EPA）、ドコサヘキサエン酸（DHA）の3種類。イワシ、サバ、サンマなどの青魚や、サケやマグロ、クルミ、亜麻仁油などに含まれます[*1][*2]。
オメガ3の健康に関する有益性
これまでの研究では、オメガ3を豊富に含む海産物や魚油が、心疾患や関節リウマチなどに有用である可能性が示されています[*1]。
また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の神経科学者 Fernando Gomez-Pinilla氏が率いた2012年のラットによる研究では、糖分の過剰摂取がもたらした記憶の混乱、学習の妨害といった脳への悪影響を、オメガ3（実験では亜麻仁油と魚油）が和らげてくれることも示されています[*3][*4]。
オメガ3の摂取による不安症状の軽減
国立研究開発法人国立がん研究センターと、健康研究センターの共同研究グループは最新の研究において、オメガ3系脂肪酸の摂取が「不安」症状を軽減することをメタアナリシスで確認。この結果は、2018年9月14日付『JAMA Network Open』に掲載されました。
メタアナリシスとは、複数の研究結果などを統合し、より高い見地から正しい結論を導き出す解析方法で、もっとも質の高い根拠とされています。
また、研究対象をいくつかのグループに分けて解析したところ、身体疾患や精神疾患等の可能性があると診断され、不安を抱えている場合の抗不安効果が大きいと示されたのだとか。
この研究の背景には、不安症の薬による副作用の懸念や、効果はあるが時間や費用、治療者が不足している認知行動療法に対する課題があったそう。そのため、安全で簡便な「不安」対策が求められていたといいます［*2］。
人生を送るうえで、どんな人でも何かしら「不安」を抱えることがあるでしょう。不安を抱えると最初のうちは、たとえば仕事や勉強、育児や家事などのパフォーマンスを上げますが、その後、どんどん不安が増して行動の効率がピークを迎えると今度は降下しはじめ、最終的には対処不能な状態にまで落ち込んでしまうのだとか[*5]。
それが、イワシ、サバ、サンマなどの青魚ほか、サケやマグロ、クルミ、亜麻仁油を意識的に摂取することで少しでも防げるなら、これは願ってもないことですね。
サプリメントと水銀に関する注意点
ただし、海産物やナッツと違い、オメガ3のサプリメントによる有益性はいまだ不明。また、厚生労働省の「統合医療」における情報発信サイトの海外情報ページ内では、胎児や幼児の神経系に有害なので、水銀の含有量が高い海産物は避けるよう忠告されています[*1]。
日本生協連によると、水銀が多いのは、マグロ、カジキ、サメ類、深海魚類、鯨類など。こうした水産物の料理は、一般の方であれば週2回以内、妊婦や幼児、妊娠を予定されている方は週1回以内にとどめたほうがいいそうです。ちなみに、サンマ、イワシ、サバなどは水銀濃度が低いので、特に控える必要はないとのこと[*6]。
バランスのいい食事に、青魚やナッツ、ヘルシーなオイルなど、オメガ3を含む食材を意識的に加えて、不安に負けない生活を手に入れてくださいね！
参考：
*1 オメガ3系脂肪酸 | 海外の情報 | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
*2 オメガ3系脂肪酸の摂取による 不安症状の軽減をメタアナリシスで確認｜国立がん研究センター
*3 Does sugar make you stupid? Study suggests it sabotages learning and memory | Daily Mail Online
*4甘い物を食べ過ぎると頭が鈍くなる | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
*5 不安症の概要 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版
*6 魚介類・鯨類の水銀についてのＱ＆Ａ｜生協／コープ｜日本生活協同組合連合会
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