意外な事実

「幸せを感じやすい食生活」は男女で異なることが判明

食事風景

2018年3月に国連が発表した「世界幸福度ランキング2018」では、1位のフィンランドをはじめ、常連の北欧諸国が上位を占める中、日本は54位。G7の中でも最低ランクで、全体においても過去最低記録を更新しています。

審査の基準としては、所得、健康と寿命、社会支援、自由度、信頼、寛容さなどの点。

人が何をもって「私は幸せだ!」と感じるかは様々ですが、その幸せ感が、普段の食生活で左右されているとしたら、どうでしょうか?

幸せと感じるのは脳の認知機能の問題ですから、国や社会を憂う前に、食生活から「幸せを感じやすい脳」を作っていくことも、ひとつの手です。

ここで注意すべきは、その幸せを感じやすくする食生活には、男と女の脳の違いが大きく関わってくるということ。家族やカップルで男女が同じ食生活を送っていても、それぞれの脳では幸せだと感じたり、感じなかったりするようなんです。

女性は栄養をたっぷり摂らないと幸せ感が減少する!?

女性にとってダイエットは永遠のテーマですよね。美しく健康な体を維持するために、野菜中心のヘルシーな食生活を送っている方も多いのではないでしょうか。

しかしこの度、そのような食生活は、女性にとって「幸せを感じにくくしてしまう」という研究結果が報じられました。

実験では、肉食中心の欧米型の食事と、野菜や穀物中心の地中海型の食事を男女それぞれに摂ってもらいました。すると、男性は欧米型、女性は地中海型の食生活を送ると、不安や焦りといった症状が助長され、精神的な充足感を感じることが少なくなったというのです。

ダイエットや健康維持に効果的と注目を浴びた地中海型の食生活ですが、女性にとってはマイナスに働いてしまい、敬遠されがちな高たんぱく、高脂質な欧米型の食生活の方が、精神的に幸せを感じやすくなる……という結果となりました。

男性と女性の脳の違いについては、長年様々な研究結果で明らかになっていますが、同じ食生活を送っても脳へ及ぼす作用が違うというのが実験で判明したんです。

原因は感情を司る大脳辺縁系にあった

パレオ・ダイエットというダイエット方法を聞いたことはありますか?

原始時代の人間が食べていたであろう食生活を再現したもので、肉をたっぷり食べることを勧めるものです。このパレオ・ダイエットは、新陳代謝を上げ、脂肪燃焼効果を期待できるダイエット法として、ハリウッドセレブたちの間でも人気を博しましたが、その陰に、脳への大きな働きがあることも確認されています。

狩猟による肉食生活を送っていた時代、人間の脳は飛躍的に進化し、肥大化したと言われています。そのため、現代人でもパレオ・ダイエットの実践により、大脳辺縁系の中でも記憶や情動に関連する海馬の質量が増えるという研究結果が出ており、ここに男性と女性の食生活への認識の差が生まれていると考えられます。

つまり、脳が急進化を遂げた原始時代、男性の仕事は「狩り」、女性は「家族のための食糧を管理し、蓄える」ことでした。そのような生活の中で、男性は常に獲物を追い求めるハンターですから、ハングリーな方がテンションも上がり、幸福感を感じます。

一方で女性は、蓄えがしっかりある、安定した食糧を求めますから、たっぷり獲物がある豊かな食事が続くことの方が幸せと感じます。そのような原始時代の男女の役割によって、幸せだと感じるスイッチが、脳の進化の際に刻みこまれたのでしょう。

骨つき肉

遠い昔の名残を未だ記憶している脳は、まだまだ神秘の存在です。しかし、脳が幸せも不幸せも決めているのなら、同じことをしても「幸せだ!」と感じやすくなってくれている方が、楽しい毎日が送れますよね。

脳は人体の様々な機能を司る大切な司令塔。その脳を活性化するライフスタイルを送ることが、心も体も健康な日々を歩むには必要なことなのではないでしょうか。

参考:
Nutritional Neuroscience 『Principal component analysis identifies differential gender-specific dietary patterns that may be linked to mental distress in human adults』
National Geographic Magazine 『The Evolution of Diet』