夏に向けて体を絞っている、それでなくとも普段から運動を行なっているみなさん、運動のお供として必要なのはスポーツドリンクよりもバナナだということをご存知ですか?
科学雑誌『プロスワン』に、運動中に摂取するスポーツドリンクとバナナの比較についての研究が掲載されました。それによると、バナナ1本の摂取はスポーツドリンクのそれに勝る、と結論づけられています。
バナナを食べると腹部の膨張感を覚える人がおり、これが運動の妨げになる可能性はあるようですが、添加物や化学物質を含まない果物の抗炎症作用こそ、運動には必要なのだそうです。
健康志向の時代に研究者たちが抱いた疑問とは
スポーツを行う人にとって、アマチュアであろうがプロであろうが摂取したのち直ちに燃料となる炭水化物は、重要なエネルギー源といわれています。
炭水化物のもっとも消化しやすく、かつ携帯が安易な物質が「糖分」。そのため、糖分をベースにするといっても過言ではないスポーツドリンクが、長年スポーツ愛好者の必需品となっていました。
しかし、数年前から、研究者たちは果物や自然の食材にこうした力はないのかと疑問に思うように。スポーツ飲料に含まれる香料や添加物を避けるために自然の代替物質を研究しはじめたのです。
こうして、20人の自転車競技の選手を対象に入念な研究が実施されました。その結果、運動中に摂取するのがもっとも相応しいとされたのがバナナだったんです。
水分補給だけでは充分でない
実験は22〜50歳の男女20人の自転車競技者を対象に行われました。レース距離は75kmで、水・水とスポーツ飲料・水と30分ごとのバナナ半分を摂取するグループに分けられました。
レース前、またレース開始直後、45分後、1時間半後と小刻みの検査をレース開始から45時間後まで実施、それぞれの選手たちの血液検査が行われました。体内の炎症の状態、ストレスの状態を表す代謝物質の分子レベルが調査されたのです。
その結果、水分を補給した場合には炎症マーカーは高いレベルを記録、スポーツドリンクかバナナを摂取した場合にはレベルが低くなることが明らかになりました。
顕著だったスポーツドリンクとバナナの摂取の相違
しかし、いくつかの遺伝子の動きを調査すると、果物の摂取とスポーツの飲用による効果には違いがあることが判明。
運動中に炎症を激化させる遺伝子の動きを唯一ブロックできたのが、バナナだったそうです。
たとえば、抗炎症作用があるイブプロフェンは、まさにこのバナナと同様に炎症を起こす遺伝子の動きを阻止することで作用します。
今回は、30分ごとに半分のバナナを摂取しましたが、これが理想的な量であるかは今後の研究課題となっています。何人かの競技者は、バナナの摂取によって腹部の膨張感を覚えたと答えていますが、それは研究対象のごく一部であったそう。
バナナを食べるとお腹の調子に違和感をおぼえる方にはおすすめできませんが、そうでない方はぜひ、運動のお供にバナナを摂取してみてくださいね。疲労の軽減につながるかもしれません。
参考:
Per l’allenamento la banana è meglio di uno sport-drink
Metabolic recovery from heavy exertion following banana compared to sugar beverage or water only ingestion: A randomized, crossover trial
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