ポテトチップスを食べ続けることが少しだけ楽になる事実

魔性のお菓子、ポテトチップス

ポテトチップスといえば「体に悪い」イメージですよね。高いカロリー、塩分に加え中毒性があると言われており、「ポテチを食べるなら自己責任で」が社会の常識と化しています。塩味に特化したその味は味覚的観点からもあんまりおすすめできません。

それでもポテトチップスは魔性のお菓子ですから、「わかってるけどやめられないんだよぉ…」というポテチジャンキーがたくさんいるはず。今回は罪悪感にさいなまれながらもポテトチップスを食べ続ける人々に向け、ポテトチップスの健康的な栄養成分のなかで、ヒトの体に吸収されることが報告されている3つをご紹介したいと思います。

1. ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用、疲労改善作用をはじめとした健康効果がある人気の成分。昨今ではビタミンC含有のポテトチップスも発売されており、ポテトチップスとビタミンCの関係は親密になりつつあると言えるでしょう。

ポテトチップスのビタミンC含有量は15mg/100g。これは乾燥マッシュポテトの5mg/100gより多くなっています。単純にビタミンCだけの比較でいえば、トマトと同じ含有量です[※1]。

22〜27歳の男性5人を対象としたビタミンC50mgを含むミネラルウォーター、マッシュポテト、ポテトチップスを用いた実験では、ポテトチップスの経口摂取によって血漿中のビタミンC濃度が上昇、さらにミネラルウォーターに比べて尿からのビタミンC排泄量が少ないこともわかっています[※2]。

2. 葉酸

葉酸はビタミンB群のひとつで核酸の合成やたんぱく質の生成促進、皮膚粘膜の強化などの役割を持つ成分。妊婦さんの摂取が推奨されていることが有名ですが、赤血球中の核酸を合成する働きにより貧血の予防・対策にも効果が望めます。

品種や製法によって異なりますが、ポテトチップスの葉酸含有量は生のじゃがいもの約2倍。スノーデン品種・低油分タイプのポテトチップスでは100gあたり100μgもの葉酸が含まれています[※3]。

厚生労働省による18歳以上の男女における葉酸の推奨摂取量は240μg/日(妊娠予定・妊娠中の女性を除く)[※4]ですから、なんと100gで1日の推奨量の半分近くが補えるポテトチップスも存在するということになります。ただし過剰摂取にはご注意ください。

3. ビタミンB6

ビタミンB6はたんぱく質の代謝に必要な成分で、皮膚や粘膜の健康を保ったり葉酸の赤血球中の核酸合成をサポートするといった役割があります。

またビタミンB6は高濃度になると動脈硬化や脳血管障害と関連する、血漿ホモシステインの代謝を助けています。葉酸と合わせたものになりますが、ポテトチップス摂取から6時間後の血漿ホモシステイン濃度に関して、6人中5人の割合で平均値9.0nmol/mLから8.2nmol/mLに減少したという実験結果も[※5]。

ポテトチップスに含まれるビタミンB6は0.5mg/100g[※1]。ビタミンB6が多く含まれる魚類のさんまと同程度の含有量となっています。

他にもL-アスコルビン酸、クロロゲン酸など、抗酸化作用のある化合物の質重量あたりの含有量が生イモの約2倍に高められている[※6]など、悪者一辺倒と思われがちなポテトチップスですが、いいところも抽出することができます。

低脂質や栄養成分を持ったポテトチップスも発売・研究が進められており、ポテトチップスの名誉が完全に挽回される日も近いのかもしれません。

ただし今回、塩分や脂肪といったポテトチップスの体に悪いエピソードは度外視しております。本記事は「健康的だからポテトチップスを食べようよ」的な趣旨ではありませんので、ご注意ください。

参考:
※1: 日本食品標準成分表
※2: Bioavailability of vitamin C from mashed potatoes and potato chips after oral administration in healthy Japanese men.
※3: 学会発表|研究開発本部~じゃがいもの研究~
※4: 水溶性ビタミン-厚生労働省
※5: ポテトチップスに含まれる葉酸のヒトへの吸収
※6: ポテトチップス中の抗酸化成分について

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