抗酸化力の秘密はポリフェノール
「赤ワインは老化を防ぐ」とはよく言われていますが、ビールにもその作用があることはご存知ですか?
赤ワインに含まれるポリフェノール成分のうちプロアントシアニジンには抗酸化作用があり、老化防止に効くとされています。そしてビールの原料、ホップに含まれるポリフェノールのなかにも、抗酸化作用を示すものがあることが近年の研究で明らかになりました。
今回はビールと赤ワインの抗酸化力の比較結果をご紹介します。
ビールと赤ワインの抗酸化力比較
国内のビールと赤ワインの抗酸化力を比較したのは昭和女子大学の中津川研一氏。同氏は研究ノートにて20種類のビールと1種類の赤ワインの唾液、血清・血漿における酸化還元度を「抗酸化力」として比較しました。
結果は以下のとおりです。
ビール・発泡酒の抗酸化力は約3000~5300μmol/L程度。それに対し「おいしい酸化防止剤無添加赤ワイン」は12454μmol/L。
圧倒的に赤ワインのほうが高いじゃないの…と思ったそこのあなた。安心してください、私も思いました。
しかしそれだけで判断するのはまだ早い!
赤ワインのグラス1杯量を125mlとすると、このなかに含まれる抗酸化力は約1556μmol。ヱビスビール(4439μmol/L)1缶(350ml)分は約1585μmol。
つまり赤ワイングラス1杯分の抗酸化力と4000μmol/L以上のビール1缶分の抗酸化力は同程度ということになるのです。
研究ノート内の考察によると、色の濃いビール、発泡酒のほうが抗酸化力が高い傾向が見られましたが、A「COEDO 白」を始めとする淡色のビールのなかにも高い抗酸化力を示すものがあり、使われているホップのポリフェノールの違いが示唆されたようです。
ホップに含まれるポリフェノールの解析が進めば、「ビール=老化防止」の定説が広まる日も遠くないのかもしれません。
近年、それまでの「体に悪い」という常識を覆しつつあるビール。今後の研究結果に注目です!
参考:ビールの抗酸化力
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