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旨味成分「グルタミン酸」が植物に多く含まれている理由を解説する

旨味成分「グルタミン酸」が植物に多く含まれている理由を解説する

植物にグルタミン酸が含まれている理由とは

美味しい出汁が取れる昆布。しかし「昆布が海にいるとき出汁が出ないのはなぜ?」と疑問に思ったことはありませんか?ネットでもよく見るこの疑問、正解は生きているから。

昆布の旨味成分グルタミン酸は細胞の中に含まれていて、生きている限りは細胞の外には漏れて来ません。だから、海水中では出汁が出ないんです。

日本では出汁といえば昆布ですが、西洋ではトマトが同じようなポジションにいますね。では、そもそもなんでこれらにはそんなにグルタミン酸が含まれているんでしょうか。

※便宜上、昆布も「植物」に区分して解説しています。

旨味のもと「グルタミン酸」はどのようなもの?

アミノ酸のひとつであるグルタミン酸は、味博士の研究所でもよく登場する旨味成分の一種。昆布やトマトのほか、枝豆やブロッコリーなどにも含まれています。

化学式で書くとHOOC(CH2)2CH(NH2)COOHがグルタミン酸。

何もアルファベットが描いていない屈曲点は炭素Cです。

両端の酸素Oが立っている部分の辺りが(-COOH)がカルボン酸の特性基です。グルタミン酸は分子中に2つのカルボキシル基がある有機化合物、ジカルボン酸です。

植物にとってグルタミン酸はアミノ酸合成の重要な要素

動物でも植物でもアミノ酸が重要なのは同じ。ただ、動物は他の生き物を食べてアミノ酸を取り込むことができます。必須アミノと言われているものがそうしたアミノ酸ですね。

現在、成人では9種類のアミノ酸が必須アミノ酸とされています(昔の教科書では8種類)。

これらのアミノ酸は合成するのが結構面倒なので、動物の場合は他の生き物を食べて取り込んだ方が合理的。しかし、植物はそうは行きません。食虫植物以外は他の生き物を「食べる」ことはできませんからね。

そこで植物は、アンモニウムイオン等の窒素源(例えば硝酸アンモニウムや硫酸アンモニウム)を吸収して必要なアミノ酸を全部自分でつくるんです。そこで役に立つのがグルタミン酸。

化学式をもう一度見てみましょう。アミノ基(-NH2)があります。これを別の分子に移すことで植物は各種アミノ酸を合成しています。

グルタミン酸はアミノ酸合成のキーファクター。なので、グルタミン酸をたくさん含んでいるんです。

植物にとってグルタミン酸はアンモニアの毒を消す意味も

また、アンモニアは動物にとっても植物にとっても実は有害。人体ではアンモニアを尿素に変えているのはそのためです。

植物は取り込んだアンモニア(アンモニウムイオン)を「グルタミン酸の素」になる物質にくっつけ、すぐにグルタミン酸とすることでその害を取り除き、窒素源として利用できるようにしているのです。

こういうわけで、グルタミン酸は植物では生理的に超重要な物質なのですが、人間にとってはなぜか旨味成分になっています。

もちろん人体にとってもグルタミン酸は様々な生理的な意味を持ちますが、特に旨味としてグルタミン酸摂取のモチベーションを高めているのは何か進化上の理由があるのかもしれませんね。

参考:稲葉昭次他「トマト果実のグルタミン酸蓄積とエチレンの関係」

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