他人におごってもらうメシが美味いのは科学的に当然


他人におごってもらうと、寿司であれ焼肉であれ、自腹で食べるよりなぜか美味しいと思う人が多いのではないでしょうか?ただ、これは不思議でも何でもないのです。味覚は錯覚を起こす感覚なので、同じものを食べても環境や状況によって感じ方が変わるのは当たり前なのです。

価格の見せ方が違うだけで変わる!

まずは同じワインなのに、見せられる値段が変わるだけで、おいしさの感じ方が変わる実験を紹介します。カリフォルニアの神経科学者のグループが社交的でワイン好きな学生に同じワインをあえて異なる価格にして、テイスティングしてもらう実験を行ったところ、全員が高価なワインを好んだという結果が出ました。

また、これは嗅覚の実験になるのですが、「汗まみれの靴下の匂い」を「匂いの強いチーズ」だと説明すると、より多くの人が「好ましい匂い」と感じるという実験結果もあります。このように事前に与えられる情報によって感じるおいしさの感じ方は変わってしまうのです。

他人のお金で食べる時の錯覚とは

では、他人のお金で食べてる時は人間はどのように感じているのでしょうか。普通は「自分は一銭も払わないのにこんなに美味しいご飯が食べれる!」という嬉しい感覚があります。そして、人は嬉しいとドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。実は、美味しいと感じる時にもこのドーパミンは分泌されているので、嬉しくて分泌されているドーパミンをあたかも美味しさで分泌されているように錯覚するのです。もちろん、寿司や焼肉が好きであれば、ドーパミンが分泌されていますが、おごってもらっている嬉しさが加わることによってより多く分泌され、あたかもそれがより美味しくなったように錯覚するというメカニズムになるわけです。

専門家も錯覚してしまう!


訓練を積んだ専門家ですら錯覚から逃れることはできません。ボルドー大学でワイン醸造学を勉強している54人の学生を対象に行った調査で、人工的に赤く色をつけた白ワインの味を表現するのに、本来の白ワインであれば「ハチミツ」「レモン」とするところを「チコリ」「プラム」「タバコ」など異なる言葉を使ったのです。プロのソムリエにも同様の実験結果が出ていることから、味は変わっていないのに色が異なることで錯覚を起こしていることがわかります。人間である以上、錯覚するのは当然なので、仕方ないことだと言えるでしょう。

味博士の研究所の人気記事「かき氷のシロップの味は“幻覚”だったのかを味覚センサーで検証してみた!」でも同じ味を色と香料を変えるだけで錯覚を起こしているという話もありました。錯覚自体は悪いことではなく、結果として幸せになれるのであれば錯覚が良いこともあります。今後、いかに錯覚を美味しさや健康に繋げていくか(減塩食なのに美味しいと錯覚する、など)研究が進んでいくと考えられます。

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