フランスの王妃マリー・アントワネットが、捕らえられたのちに一晩で髪の毛が真っ白になったという有名なエピソードがあります。
年齢とともに増える白髪はごく自然のことですが、年齢は若くとも様々な心理的ストレスや病気によって白髪が増えるという現象も、それほど珍しいことではありません。しかし、その原因についてはあまり知られてきませんでした。
学術雑誌『Plos Biology』に掲載されたアメリカの国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)とアラバマ大学の白髪に関する研究によると、白髪とタンパク質の一種Mitf(melanogenesis associated transcription factor)の関連が明らかになったそうです。
この結果は、色素細胞メラノサイトの研究中に偶然見つかりました。
幹細胞に影響を与える遺伝子を研究中に…
研究者たちは、幹細胞に影響を与える遺伝子を対象に研究を始めました。具体的には、色素沈着を引き起こす細胞メラノサイトに焦点を当てて、研究をしていたそうです。メラノサイトが十分に機能しないと、髪は白くなるからです。
早期脱色素化を発症しやすいマウスを使って、毛包幹細胞の機能不全についてのメカニズムを追求しようと研究に没頭していたところ、全く偶然に予期せぬ結果を見ることになりました。
「Mitf」と呼ばれるタンパク質の一種が機能しないと、白髪の発生を助長することが判明したんです。
そのメカニズムとは、こうです。
免疫系のシステムがシステムやウィルスにさらされているとき、メラノサイトの細胞の機能調節にはタンパク質「Mitf」が不可欠であるそうです。Mitfが働かなくなると、メラノサイトや幹細胞も正常に機能しなくなり、白髪が生まれてしまう……というわけ。
この研究は、白髪の発生の原因を追究するだけではなく、機能障害を伴う白斑といった疾患の研究にも役に立つと国立衛生研究所のウィリアム・ペイヴァン教授は語っています。
研究が進めば、若白髪がなくなる日も近いかもしれませんね!ちなみに、良質なタンパク質はお肉や豆類に豊富に含まれています。
参考:
Capelli bianchi, tutta colpa di una proteina
A direct link between MITF, innate immunity, and hair graying