味の好みは人それぞれですが、性別や出身地域などで好きなものの傾向というのがあったりします。例えば、「女性は赤ワインよりも白ワインが好き」など。
ミラノ大学生物医学部教授アルベルト・ベルテッリが率いる国際研究チームは、「味の好みは遺伝子、生活様式、歴史、文化といった要素が絡み合って生まれる」という研究結果を発表。研究結果は「Scientific Reports」に掲載されました。
女性が白ワインを好むのは「渋み」を感じやすいから
実験では、イタリア人とチェコ人各300人を対象に、非常にコクのある赤ワインを味わってもらい、その“苦み”と“渋み”に対する感受性が調べられました。また、参加者の主観的な記述のほか、遺伝子の型によって味覚の感じ方に違いがあるのかも調査されました。
その結果、女性に関しては非常に明確な特徴が明らかに。それは、「渋み」に関して女性のほうがはるかに繊細な感覚を持っているということ。女性が渋い赤ワインよりも、甘味のある白ワインを好むのはこうした理由があったんです。
また、イタリア人のほうがチェコ人よりも「苦み」を感知しやすいことも判明しました。
日本人が旨味を感じやすいように、「苦味」に関しても個々の好みや味覚の問題ではなく、地理的あるいは文化的な要素が大きな影響を与えている可能性があるんです。
苦味に敏感なイタリア人がなぜ「赤ワイン」を好むのか
しかし、もしイタリア人がヨーロッパの他国の人々より「苦味」に対して敏感であるのならば、赤ワインの消費が他の国よりも少ないはずです。ところが、実際には逆であることは周知の事実ですよね。
これに関して、ベルテッリ教授はこう述べています。
「この事実は、味覚の遺伝子がすべての要素をカバーするわけではないということを示しています。異なる文化や生活習慣が、我々の味覚に与える影響は無視できない規模なのかもしれません。味覚を決定するのは、遺伝子がすべてではないのです」。
文化的要因が実際に遺伝学にどのような影響を及ぼしているのか、この研究はまだ第一歩を踏み出したばかり。苦みと渋みを対象に行われた遺伝子と文化的要素の研究ですが、そのふたつの要素の絡み合いについて結果が出るのはまだ先のことになりそうですね。
参考:
Le donne preferiscono il vino bianco, il gene del gusto guida scelta
Association between taste receptor (TAS) genes and the perception of wine characteristics
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