ケンブリッジ大学の研究チームは、消費者の動向とニーズに応じて容器の大きさがどのように変化していくかというテーマで結果を発表しました。
非常に凡庸にも見えるこのテーマですが、ケンブリッジ大学はここ30年の平均飲酒量の増加とワイングラスの大きさがどのような関係にあるのかを徹底調査。医学雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」にその結果を発表しました。
1700年と比べてグラスの大きさが7倍に!
調査されたのは、1700年から現在に至るまでの平均的なワイングラスの大きさ。オクスフォードのアシュモレアン博物館にあるワイングラスから最近のワイングラスまで、449個を分析したんです。
その結果、300年の間にワイングラスの大きさは7倍になっていることが判明しました。300年前のワイングラスの容量は66ml。一方、現在我々が使う一般的なグラスは449mlの容量であったとのこと。
1980年から2004年のワイン消費量は2倍になっている事実とあわせて、これらとの関連性も今後研究対象になる予定です。
時代とともに変化したワインの飲み方
研究者によると、300年前のワインは現代の食後酒のように飲んでいたのだそうです。
また、時代の嗜好、ガラス工業の普及が、ワイングラスの大きさの変化に影響を与えたという学者もいます。実際、300年前のワイングラスの大きさは、現代の最も小さいサイズの半分以下。
ちなみに、現在の「食後酒」用のグラスの容量は平均して160mlです。
容量が変わらなくとも、グラスのサイズが変わると…?
2016年にケンブリッジ大学は、大学がある街のレストラン「Pint Shop」でとある実験を実施。
ワイングラスのサイズを大きくし、ワインの容量だけは変えずに提供したんです。結果は、売り上げの10%増加でした。
飲むワインの量が変わらなくとも、グラスのサイズが大きいことで「少ないからもっと飲もう」というふうになったのかもしれませんね。
昨今の著しいワイングラスの容量の増加は、1990年代のアメリカの市場に端を発しているといわれています。研究チームの長で人間行動学専門のテレサ・マルトーは、こう語ります。
「ワインの消費の増加とワイングラスの大きさの変化との関連性は、まだ明言することは不可能です。しかし、飲酒量を決める場合はグラスの大きさは非常に重要です」。
先進国での、若年で亡くなる人の5番目の死因に「アルコール」が挙げられていることから、研究チームは「グラスの平均サイズ250mlから半分の125mlにすることを奨励する」と研究論文中に記しています。
参考:
Se beviamo più vino potrebbe essere colpa dei bicchieri. “Sono sette volte più grandi di quello del passato” – Repubblica.it
Dai bicchierini ai bicchieri: ecco perché oggi si beve di più in Gb