冬は味が濃いものが欲しくなります。ゆえに、ついつい塩分を摂りすぎてしまいがち。どうにかして塩分摂取量を少しずつでも減らす方法はないものか……。
そんなときに活躍してくれるのが基本5味のひとつ、「旨味」。だし汁のような旨味が強い料理では、薄味でも満足できます。塩をプラスする代わりに旨味を強くする方法を取ることで、自然と塩分の摂取も控えられる可能性があるんです。
「日本人の味覚は変わり続けている!?味博士に聞いてみた」の記事で、味博士がおすすめしていたのが「きのこの汁物」による旨味を活用した汁物。
旨味は別の種類のものと組み合わせることによって旨味の相乗効果が狙えます。例えば昆布と煮干しでだしを取るとしましょう。昆布にはグルタミン酸、煮干しにはイノシン酸が含まれています。ここにしいたけを投入すると、しいたけのグアニン酸と合わさって相乗効果による立派な旨味汁の完成というわけです。
そんなきのこの旨味を、さらにアップさせる方法があるのはご存知でしょうか。
冷凍するときのこの旨味はアップする!
きのこの旨味が出てくるのは、きのこの細胞が死んだとき。干したりすることできのこの細胞が死ぬことによって、細胞内のRNAやたんぱく質の分解が始まります。そして、旨味成分である「グアニル酸」「アスパラギン酸」「グルタミン酸」などが作られるようになるんです。
そして、この旨味を増やすのに便利なのが「冷凍」という方法です。
まず、味覚センサーで分析した生きのこ、加熱したきのこ、冷凍して加熱したきのこの旨味を見てみましょう。
加熱しただけでも生きのこに比べて旨味が36%アップしていますが、冷凍して加熱したきのこではさらに10%アップ。冷凍するだけでこれだけ旨味がアップするのであれば、使わない手はありませんね。
どのきのこが冷凍による効果が1番高い?
次に、きのこごとの旨味のアップ率をご紹介します。汁物に使いたいきのこといえば、しいたけ、しめじ、えのきではないでしょうか。この3つのきのこの、冷凍と冷蔵での旨味の違いを比較してみましょう。
しいたけ、しめじは冷蔵に比べて冷凍の場合10%アップ。えのきは17%アップなので、えのきは冷凍させることでもっとも旨味がアップするきのこだということがわかります。
とはいえどのきのこも冷凍するだけで旨味が10%以上、上昇しています。きのこが安売りしているタイミングでたくさん買って、調理後すぐ使えるように切ってから冷凍しておくだけで、いつでも簡単に旨味きのこ汁が作れるんですね。
ただし、冷凍きのこは解凍後、茹ですぎたときのように歯ごたえがほとんどなくなります。旨味よりも歯ごたえを重視する場合は、生のきのこを使ってくださいね。
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