平均食塩摂取量は推奨量を上回っている?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、ナトリウム(食塩相当量)の推奨摂取量は男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満。しかし2016年11月14日、同省から発表された「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、2015年における成人の食塩平均摂取量は男性11.0g/日、女性9.2g/日となっています。
食塩とナトリウム(食塩相当量)で完全なイコールではありませんが、平均的な塩分の摂取量が推奨量を上回っているのは事実のようです。
ケチャップなどに置き換えて減塩する方法もありますが、忙しいときなどは置き換えまで考える余裕もなく、ついついいつもの調理法を継続してしまうもの。というわけで今回は、容易に取り入れやすい減塩方法を味覚の観点から考えてみたいと思います。
1. 隠れ塩分量を意識する
こちらはマクドナルドの「フライドポテト」およびケンタッキーの「ビスケット」の塩味を味覚センサーレオで分析し、比較したグラフです。
塩味の感じ方で見ると当然マクドナルドの「フライドポテト」のほうが高い結果。しかし100g中の食塩相当量ではマクドナルドの「フライドポテト」は0.4g、ケンタッキーの「ビスケット」は1.1gとビスケットのほうが格段に多いのです。
このように生地に練りこんだものや他の味覚が強いものでは、しょっぱさを感じなくとも実は塩分が高いという状態になりがち。下処理・下味ももちろん大事ですが、減塩を考えるならばなるべく食品の外側に味が付着するよう、調理最終段階での味付けがおすすめです。
2. 旨味の高い食品を使う
女子学生107名を対象とした味覚のテスト[※3]の結果によると、味覚の中で誤答率が一番高かったのは旨味。なかでも旨味を塩味と間違えている人がよく見られたそうです。これを逆に考えると、塩味を旨味で代用できるということになるのではないでしょうか。もちろん旨味成分にもナトリウムは含まれますが、食塩のそれに比べると圧倒的に低いです。たとえば食塩のナトリウム量は39000mg/100gですが、昆布だし(液)のナトリウムは61mg/100g[※4]です(塩100gも使いませんが)。
だしの旨味をうまく利用すれば、塩を入れなくとも味的な満足を得ることができます。ほかにもトマトやキノコ、牛乳など旨味の高い食材は積極的に利用したいもの。また旨味成分には大きく分けて昆布や野菜・乳製品などに含まれるグルタミン酸、魚や肉類などに含まれるイノシン酸、キノコ類に含まれるグアニル酸の3種類があります。別の種類同士の旨味成分を混ぜ合わせることで相乗効果により料理の旨味をアップさせることも可能です。
もちろん「減塩」を謳ったものを除き、製品にもよりますが市販の顆粒だしよりも素材由来のだしのほうがナトリウム(食塩相当量)は少ないでしょう。
3. 薄味に慣れる
人は濃い味のものばかりを食べていると濃い味に慣れてしまい、だんだんと薄い味を感知できなくなっていきます。
女子学生107名を対象とした味覚のテスト[※3]によれば、日々の食形態について内食中心の人と中食・外食中心の人にわけて閾値検査結果と照らし合わせた際、中食・外食中心の人は旨味の認知閾値が高く旨味を感知しづらくなっている結果が出ています。
意識的に薄い味付けのものを摂取し、舌を薄味に慣らしていくだけでも塩分の過剰摂取を防ぐ効果が期待できます。外食が多い人は家では薄味にするなどの工夫をしてみましょう。薄味に慣れると旨味の味わいもより一層楽しめ、味覚力もアップ。いいことづくめです。
減塩のコツはいろいろありますが、以上の3つは割と敷居が低いのではないでしょうか。ぜひ毎日の習慣に取り入れてみてくださいね。
参考:
[※1]平成 27 年 国民健康・栄養調査結果の概要
[※2]「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」
[※3]食生活状況と味覚感度に関する研究
[※4]食品成分データベース
[※5]Diet-Induced Obesity Reduces the Responsiveness of the Peripheral Taste Receptor Cells
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