アイスのパッケージには賞味期限の記載がない！
こう暑ーい毎日が続くとアイスが欠かせませんよね。ところで、アイスに賞味期限がないのはご存知でしたか？
アイスのパッケージの表示を是非見てみてください。本当に書いてありませんので！
しかし食べ物には賞味・消費期限表示がつきもの…なぜアイスにはそれがないのでしょうか？
アイスの賞味期限表示がないのはなぜ？
実は、消費者庁で制定されている「加工食品品質表示基準」には品質の変化がほとんどないチューインガム、冷菓、アイスクリーム類といった食品は「賞味期限及び保存方法の表示を省略することができる」とあります。
ただし、もちろん温度管理がちゃんとされている中で管理されていることが条件です。
アイスクリーム業界では「アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約」というものを定めていて、「保存上の注意として『ご家庭では－18℃以下で保存して下さい。』等の主旨の表示をする」と保存温度の基準を設けています。
アイスは冷凍庫で保管されていることが当然ですから、品質の変化もほとんどなく賞味期限を表示する必要性がないのです。
冷凍によって食品におきていること
食品の品質変化の要因として、
① 微生物による作用
② 食品中の酵素による分解などの作用
③ 酸化などの化学作用
④ 乾燥などの物理作用
があります。①②では作用によって食品が分解され腐敗してしまいます。
③④では風味が損なわれることによって品質変化が起こります。
冷凍による保存方法では、食品本来の特性をあまり変化させずに酵素や微生物による分解・腐敗を抑制することができます。これは温度が下がることで微生物の細胞内の酵素活性が下がり、微生物が繁殖しにくくなるためです。
冷凍保存と微生物の働き
たとえば、食中毒細菌の多くは中温細菌と呼ばれ10℃以下では増殖しにくく、0℃になるとほとんど活動できません。低温細菌と呼ばれる比較的低温に強い細菌も、－10℃以下ではほとんど増殖しなくなります。
冷凍で食品の温度を下げていくと、食品中の水分は凍結されて氷となります。すると微生物が利用できる水分が減るので、微生物の活動はより低下します。アイスクリームの保存温度の基準とされている-18℃は酵素やカビの発育限界です。
冷凍保存は品質変化の要因である微生物や酵素の作用を抑える効果があるのです。
しかし冷凍下であっても、温度や保存状況によっては乾燥や酸化が生じて、食品の品質低下を引き起こすことがあります。冷凍食品の表面が乾燥しぱさついた状態になるのは「冷凍焼け」と呼ばれます。
アイスを美味しく食べるために
アイスのベストコンディションを保つためには
・ 冷凍庫の温度を-18℃以下に保つ
・ 一度溶けたものを再び凍らせない
・ 乾燥を防ぐためにポリ袋に入れて保存する
・ 空気に触れる面積を減らすためにアイスの表面を平らにする
・ 匂いの強いものと一緒に保存しない
といった徹底した保存方法がポイントです。
冷凍庫の環境を見直して、おいしいアイスを食べましょう！
参考：
日本アイスクリーム協会
消費者庁.加工食品品質表示基準
阿部万寿雄.最近の冷凍食品の進歩と美味しさの秘密.冷凍.Vol.79 No.916 2004.2
安川章.アイスクリーム類,氷菓及びソトクリームの細菌汚染について. 生活衛生.Vol. 24 (1980) No. 6 P 196-201
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