調味料は「さしすせそ」の順で加えるべき?
また「さしすせそ」は調味料の種類を表すだけでなく、煮物などを料理する際にも、この順番で調味料を加えることで美味しくなると言われています。
しかし、和食の重要調味料を覚えやすく語呂合わせ出来るだけでなく、最もおいしい順番に並んでいるなんて、うまく出来すぎだと思いませんか?今日はこの「さしすせそ」の順番で調味料を加えると本当に美味しくなるのかを、科学の力を使って調べてみます!
「さしすせそ」vs「そせすしさ」比較実験!
料理の「さしすせそ」の調味料を加える順番を変えたら、味に変化は生じるのでしょうか?
真相を探るべく、「さしすせそ」をすべて使うレシピを考案し作ってみました。
材料は以下の通りです。
【材料】
鶏もも肉…100g
もやし…60g
にら…1/2束
にんにく…1かけ
砂糖…大さじ1
塩…少々
酢…大さじ1/2
醤油…大さじ1+1/2
豆板醤(味噌代わり)…小さじ1
ごま油…少量
そして、調味料を「さしすせそ」の順番で加えるバージョンと、
あえて真逆の「そせすしさ」の順番で加えるバージョンの
2パターンで料理を行い、味の比較実験を行いました。料理の手順は以下の通りです。
【作り方】
1.フライパンにごま油を少量熱し、鶏もも肉を皮目から焼く。焼き色がついたらひっくり返す。
2.全体に焼き色がついたら、調味料を「さしすせそ」or「そせしすさ」の順に加える。
右:「そせすしさ」の順に調味料を加えて鶏肉を焼いたもの
3.調味料がお肉にからんだら、もやし、にら、にんにくを加え、全体的に熱が通るまで炒める。
4.盛り付けて完成。
さて、調味料の順番で本当に味に変化があったのでしょうか…!?
実際に食べ比べてみた
右:「そせすしさ」の順番に調味料を加えて調理したもの
「さしすせそ」の順番に調味料を入れた方は、鶏肉にほんのり甘みを感じ、味が丸く優しい味になりました。今回のように、中華風の炒め物では少し刺激が足りなくもありますが、煮物などの料理には合う、ほっこりする味のように思えました。
一方、逆の「そせすしさ」の順番で調味料を加えた方は、一番に入れた味噌代わりの豆板醤の辛味がガツンとくる味になりました。「さしすせそ」と同じ分量の調味料を加えている割には、酢の酸味や砂糖の甘味を感じませんでした。砂糖に関しては、を入れても入れなくても変わらないのでは?というほどです。
味覚センサーでも甘味の変化を確認
「さしすせそ」の順で調理した肉と、「そせすしさ」の順で調理した肉を、食べ物の味を数値で表せる味覚センサー「レオ」にかけて、味覚を分析してみました!
その結果、「さしすせそ」で調理した肉のほうが甘味が有意に高くなっていることが確認できました。実際に食べても味の違いは明確でしたが、数値としてもこんなにはっきり表れるとは驚きですね!
では、なぜ砂糖を先に入れると甘味が強く出るのでしょうか。 ここで重要になってくるのが「浸透圧」です。 浸透圧は簡単に言えば、“調味料の具材へのしみこみやすさ”です。 砂糖(ショ糖)は、塩や醤油の塩分(NaCl)に比べて浸透圧が低い、つまり“具材へ味がしみこみにくい”んですね。 なので、先に砂糖を入れてあげないと砂糖の味が中に入っていかないんです。
「そせすしさ」のように先に塩分を入れてしまうと、具材にどんどん塩分が入り込み、砂糖が入り込むスキマがなくなってしまうというわけです。
影響が出たのはお肉の味だけではなかった!
最後に、こちらの写真をよく見比べてみてください。
注目すべきは肉!…ではなく野菜なんです。野菜をよーく見比べてみてください。どちらがシャキっとしていそうですか?実は、見た目でも、実際に食べても、「さしすせそ」の順に調味料を加えた方の野菜のほうがシャキシャキして美味しかったのです!
「さしすせそ」の順番で調理したものでは、砂糖を一番初めに加えるため、砂糖がフライパンで熱されカラメル状になります。すると、あとから加える酢や醤油などの液体の調味料に程よいとろみができるため、野菜が保護されます。一方「そせすしさ」の順番で調理したものは、味噌代わりの豆板醤のあとに醤油や酢など液体の調味料を加えていくため、野菜がべチャっとしやすいと考えられます。
昔から言われている、調味料を加える順番「さしすせそ」には、ちゃんと科学的な理由があったのですね。おうちにあるもので手軽にできるこの実験、あなたもご家庭でやってみてはいかがでしょうか。ぜひ、味の違いを実感してみてください♪
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