日本の発酵文化を決定づけたニホンコウジカビがすごすぎる!

日本の食文化で発酵が大きな特徴だということがたまに言われますが、正確にはニホンコウジカビでの発酵食品こそ、日本の食文化の大きな特徴です。

発酵の原理

発酵の主役は微生物です。あらゆる所にいる微生物が食材に付いて成分を分解していくことで、様々な成分を作り出して美味しくなったり、栄養価がアップするなことを発酵と呼びます。よく似た現象に「腐敗」がありますが、人間にとってデメリットがあれば腐敗、メリットがあれば発酵ということで、プロセスは同じです。発酵ではたんぱく質がアミノ酸に、アルコールが酢酸に変わるのに対して、腐敗ではタンパク質やアミノ酸がアンモニアや硫化水素に変化します。ある段階までは発酵でもそこから先は腐敗に変わってしまうこともあるわけです。つまり、発酵を「進める・止める」コントロールをする必要が出てきます。

発酵を進めるには、中性の環境下であること。また、日光が苦手なので、発酵を起こさせるには暗い場所で温度も発酵菌によって最適な温度が異なりますが、だいたい25~40°Cで活発になる菌が多いです。

発酵を止めるには、酸性やアルカリ性にする、アルコール濃度を20%以上にする、塩・砂糖の濃度を高める、などの方法が主に用いられます。

海外の発酵食品

発酵自体は日本独自ではありません。乳酸菌での発酵食品であるチーズやヨーグルト、酵母での発酵食品であるワインやパン、ビールなどがあります。乳酸菌が働くと、乳酸を作り出すので、酸味が強くなり保存しやすくなります。日本に比べると、海外の食文化は酸味が強くなる傾向にありますが、主要な発酵食品で乳酸菌が使われていることも影響していると考えられます。酵母は多種多様で、どのような味わいを生み出すかは異なっています。ビールも日本酒も酵母が関わっていますが、味わいが全く異なりますよね!

ニホンコウジカビは国菌!

日本でも乳酸菌や酵母が活躍していますが、何よりも麹菌が主役といえます。その中でもニホンコウジカビは日本特有の発酵菌で、日本醸造学会より「国菌」に定められています。関わっている発酵食品には味噌、日本酒、焼酎など日本の食文化に不可欠な食品・飲料が並びます。他にも醤油を生み出す醤油麹も麹菌ですので、日本の食文化の特徴は麹菌にあると言っても良いくらいです。麹菌は炭水化物を糖に分解して甘味を引き出し、たんぱく質をアミノ酸に分解して旨味を生み出します。酸味が上がるのではなく、甘味・旨味を上げるというのが麹菌の特徴です。旨味の文化は麹菌・ニホンコウジカビが作ってくれたとも言えますね。

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