一般的にしっかり噛んで食事を摂ることは良いとされていますよね。例えば、よく噛まず早食いの人は肥満の傾向にあったり[*1,2]。
ゆっくりとよく噛むことは肥満の対策となる行動療法の一つとして推奨されています。
よく噛むためには、意識だけでなく、食べ物も工夫すると良いと言われており、その一つとして「プチプチしたものを食べると良いかもしれない」という報告がなされているんです。
「プチプチ」という響きは好印象である
和洋女子大学の柳澤らは「プチプチ」に人々はどのような印象を持つのか、そしてプチプチ食感が咀嚼回数にどのような影響を与えるのか研究しました[*3]。
まず、「プチプチ」が人々に良い印象を与えるのか、悪い印象を与えるのか、そしてそこから連想される食品について調査をしました。
「プチプチ」と類似した「ほくほく」や「とろとろ」といった短い形容詞が2回繰り替えされた用語がもたらす印象を6点満点で比較して「プチプチ」はどれほど好印象なのか調べたところ、「ほくほく」が最も高く4.62でした。一方で「プチプチ」も4.01で好印象を与えることが明らかになりました。
また、「プチプチ」からイメージする食品は上位からいくら、数の子、海ぶどうなどがランクインし、特に魚卵が多かったそうです。
プチプチの代表格である海ぶどうは咀嚼回数の増加をもたらす
前述した結果をもとにするといくらが「プチプチ」する食品の代表格ですが、いくらや数の子などの魚卵類は独特な匂いウをもつことなどから、研究デザインの問題から、3番目の海ぶどうを咀嚼回数の研究に用いることにしました。
研究では、ところてんをコントロールとし、ところてんと海ぶどうを混ぜた試料1.5 g、3g、4.5 g混ぜたものを被験者には食べてもらい、咀嚼回数を比較しました。
結果として、海ぶどうを添加した試料では食習慣や性別関係なく有意に咀嚼回数が増加し、例えば咀嚼回数の高い群ではコントロールで40回程度であったのに対し、4.5 g混ぜた試料ではなんと60回以上と多くなりました。
プチプチ食感が咀嚼回数に良い影響を与えた背景として、不均一な試料が調整されたこと、好ましい食感であることから快適性を感じたことがあると、著者は述べています。
より硬い食品をコントロールにおいた時に海ぶどうのプチプチ食感が咀嚼回数にどのような影響を与えるかを明らかにすることを、著者は今後の課題としてあげています。
よく噛む習慣を持つことは健康にとてもいいとされており、取り入れておきたい習慣ですよね。
どうしても早食いがやめられない、噛まずに食べてしまう人は、よく噛むために今日から食事にプチプチ食感のものを取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献:
*1:厚生労働省「早食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」 | e-ヘルスネット 情報提供」
*2:農林水産省「ゆっくり食べる:農林水産省」
*3:柳澤 幸江ら「プチプチ食感による咀嚼誘発性の検討」和洋女子大学紀要. 58, 119-128, 2018-03-31