食×科学

モミの木から甘味料や酢を生産する技術で、クリスマスツリーをリサイクル

モミの木

西洋では、クリスマスツリーは新年が明けるまで飾られています。日本のように、26日からお正月の門松を立てる必要がないため、12月初旬から1ヶ月ほどクリスマスのオーナメントを楽しめるんです。

毎年使用できるプラスチック製のクリスマスツリーはともかく、実際のモミの木を切断して毎年新調する人々も少なくないようです。

ただし、一度切ってしまったモミの木はクリスマスシーズンが終われば当然廃棄されてしまいます。そして、モミの木のような針葉樹は燃やして分解するのにもエネルギーとコストがかかるのです。

こうした「モミの木の廃棄」は、たまに映画のワンシーンとして映し出されることもありますね。

イギリスのシェフィールド大学では、この廃棄されるモミの木の再利用を研究にとりかかりました。なんと、食べ物にしてしまおうと言うんです。

甘味料、お酢などへの変換が可能に?

お酢、調味料

ほとんどのモミの木は、リグノセルロースをはじめとする複雑なポリマーで構成される針葉が特徴です。その分子の複雑さが、バイオマスプラントでさえもモミの木を敬遠する理由のひとつでした。

シェフィールド大学の研究者シンシア・カートリーは、「現段階でも実際に有用な分子に分解するための研究は完遂したとは言い切れない」と語っています。

それでも、モミの木の針葉からバイオオイルを抽出することで様々な物品への変換が可能になりそうです。

このバイオオイルには、グルコース、酢酸、フェノールが含まれています。これらから、甘味料やお酢、ニスなどの接着剤が生産可能になるのだとか。

シェフィールド大学の研究チームは、まだ分解が可能ではない他の部分もリサイクル可能にするために、今後も研究を続行するとしています。目標は「モミの木の廃棄ゼロ!」。

自治体がするモミの木の処理

本物のモミの木をクリスマスツリーとして使用することが少ない日本では想像もつきませんが、西洋の多くの自治体で「使用後」の本物のモミの木の処理に頭を抱えているのが実情。

それは、非常に燃えにくいという理由が第一に上がります。コストがとんでもなくかかるわけです。

シェフィールド大学のデータによると、英国で毎年購入される本物のモミの木は800万本。これまでも、こうしたモミの木を堆肥に変えるなどの技術が研究されてきましたが、実際にはそのうちの700万本が廃棄処分に回されています。

モミの木から甘味料やお酢が生産されるプロセスが確立すれば、こうした無駄が一気に省けるのです。

例えばお正月飾りは、どんど焼きのタイミングを逃すとどう処分したら良いものか悩んでしまいますよね。こうした新しいリサイクル技術が出てくることで、処分に困るものが減っていけば良いなあ、などと今年飾った門松を見つめながら考えております。

参考:
Pine needles from old Christmas trees could be turned into paint and food sweeteners in the future
Your Christmas tree could help save the planet