もちもち、パリパリと色々な食感が楽しめるお餅。そんなお餅の食感や焼いた餅の特徴でもあるぷくっと膨らんだフォルムには水分が関係しています。
餅と水分の関係を知れば、いつもと違った餅の楽しみ方や、餅を長持ちさせることもできるんです。
餅を操る基本は「水分」
餅が硬くなったり柔らかくなったりするのは、水分と温度が関係しています。具体的には、水分によるデンプンの構造の変化によるものです。
加熱により水分がデンプンの分子に作用し分子構造が膨張することで、餅は固い状態から柔らかい状態へと変化します(α化)。その後、時間の経過とともに膨張が収束するため餅はまた硬い状態に戻りますβ化)。
こうしたデンプンの変化によって餅をついたり、丸めて保存したりすることができるんです。
丸めて一度固まった餅、つまりβ化したデンプンであっても水分量が著しく低下していなければ再び柔らかくできます。お雑煮や鏡開きで作られるぜんざいを想像するとわかりやすいでしょう。
水分が38%以下の乾燥した状態になると、柔らかい状態に戻せなくなります。
餅をきれいに膨らます
餅をぷっくりと膨らませたい時には、餅に含まれている水分が大切になります。
餅を焼いた時のことを思い出してみてください。加熱し始めると少しずつ柔らかい状態(糊化)なり、さらに加熱を続けると膨らんできますよね。
この膨らむ現象は膨化と呼ばれ、餅に含まれている水蒸気や空気が膨張することで起こります。
また糊状になった部分が膨化によって伸び広げられることで、焼き餅はあの膨らんだ独特の形状になります。
糊化と膨化を起こすためには、水分が餅の中に十分にあることが必要になるのです。
フォトジェニックな餅を焼く方法
出来上がったら写真を撮りたかったのに、「なんとなく加熱したらプクプクと全体的に膨らんでしまった」なんて経験はありませんか?
餅を焼く前に一手間加えることで、糊化や膨化を意図した場所で起こすことが可能となります。
その一手間とは、「膨らませたい部分にあらかじめ醤油を軽く塗っておく」こと。
醤油を塗った場所が最初に膨らみ始めるため、いろんな場所から餅が膨らんでしまうことを防げます。塩分が含まれている醤油を塗った部分が最初に高温となるので、他のお餅の場所より早く膨らみ始めるんです。
同様に餅の中央に切り込みを入れて水分を垂らしておくと、膨らむ場所を調節することもできますよ。
余ってしまったお餅を長持ちさせるには
わざと餅を乾燥させることで、美味しくそして長く餅を楽しむことができます。
天日干しをして乾燥させても良いですし、電子レンジで加熱してもOK。
乾燥させてから油でカリッと揚げて、お餅をおかきやあられにして味わってみましょう。
餅の形状の変化はデンプンの変化であり、それには水分が大きく関わっています。水分の調節で自在に操ることで、より一層美味しくお餅を味わえます。
お餅と水分の関係を意識して、お餅の食べ方にこだわってみてくださいね。
参考:
食品を科学する―リスクアナリシス(分析)連続講座― 第2回「誰もが食べている化学物質~食品の加工貯蔵中の化学変化と安全性~」
膨化食品の膨化メカニズム
もちはどうして固くなる?