何か特定の栄養素を摂取したい!と思ったとき、野菜などに含まれる栄養素の含有量をチェックする人も多いと思います。
しかし、だいたいにおいて、目にするのは調理前のもの。調理によって、野菜に含まれるビタミンはどのくらい失われているのでしょうか。
調理によって失われるビタミンについて文献を網羅的に収集したデータ[*]から、ビタミンCの残存率についてまとめてみました。
加熱調理後のビタミンC残存率
ビタミンCについては、49の文献から1587件のデータが収集されています。加熱調理後のビタミンCの残存率について、ランキングにしたものが以下のとおり。
調理法別ビタミンC残存ランキング
1位:蒸す:83%程度
2位:電子レンジ:80%程度
3位:フライパンで炒める:71%程度
4位:オーブンで焼く:68%程度
5位:煮る:67%程度
6位:揚げる:63%程度
7位:茹でる:46%程度
研究では他の栄養素に関しても分析がされており、それによると全ビタミン中、ビタミンCは加熱調理後の残存率が最小だったそうです。
加熱調理を経て、もっとも残存率が高いのは蒸し調理。ビタミンCが水溶性ビタミンであるからか、茹で調理では半分以上のビタミンCが失われてしまっています。
ビタミンCの残存率のデータは正しいか?
ビタミンCには還元型(L-アスコルビン酸)と酸化型(デヒドロアスコルビン酸)があり、以前は「還元型ビタミンCが酸化することによってビタミンCとしての作用がなくなる」と言われ、還元型のみが分析されていました。最近では酸化型も体内で還元型に変換されることから、総ビタミンC量としては両者の合計で表示されることが多いです。
つまり、古い文献ではビタミンCとしてカウントできるはずの酸化型ビタミンCが除外されてしまっているため、本来の数値よりも少ない情報として載ってしまっているということ。
しかし、酸化型ビタミンCの還元率等は解明されていない部分も多く、酸化型が還元型と同じようにビタミンCとして使えるかと言ったら現状、イエスorノーでは答えられないでしょう。
還元型のみを分析したデータかそうでないかは分析法で分けられます。ただ、上記のデータは分析の手法が不明確な文献が多いために解釈には注意が必要である旨が論文に記載されています。
どちらにせよ、調理することによってビタミンCが減少してしまうことは念頭に置いておいたほうが良さそうです。蒸し調理や電子レンジ調理では失われるビタミンCも少ないようですが、とにかく多く摂取したい場合は、やはり生食が一番確実でしょう。
野菜に含まれるアスコルビン酸オキシダーゼという酵素の作用によって、野菜を切る、ミキサーですり潰すといった調理がされると、ビタミンCは還元型から酸化型になっていきます。
総ビタミンC量としては大きく変化しないため、栄養価としては含有量のほとんどを摂取できると考えられますが、前述の酸化型ビタミンCの作用まで気になる方はそのまま食べられるものから摂取した方が良いかもしれません。
この時期だったら、みかんですね。みかん食べましょう。