だし、お雑煮、おでんなど、全国各地で味や形態が違う身近な食べ物は、意外とあるもの。そもそも塩が多い、砂糖が多いなど、調味料の使い方からして各地で違うので、同じ料理なのに味が違うことは珍しくないですよね。いわゆる「家庭の味」「おふくろの味」というやつでしょう。
今回はその中でも「卵焼き」に着目しました。あなたの家の卵焼きは、しょっぱいですか?甘いですか?
地域別、卵焼きの味の違い
関東はお砂糖を多く入れた甘い卵焼き、関西はだしを入れたしょっぱい卵焼きとはよく言われます。後者は、しょっぱいというよりも旨味が強いといったほうが表現として正しいかもしれません。
こうした卵焼きの味の違いは、地域によってどれだけの差があるのでしょうか。東京・岐阜・滋賀・大阪・宮崎の卵焼きの味を、AIを搭載した味覚センサー「レオ」で検証しました。
チャート図を見ると「これはもはや別の食べ物なんじゃないか……?」と思ってしまうほどに地域で味が違うのが、卵焼きのスゴイところです。
卵は旨味に特化した味を持つ食べ物なので、旨味が高いのはどこも共通ですね。また、どの地域も苦味・酸味といった味は足されておらず、甘味や塩味で構成されています。
東京は甘味・旨味・塩味が比較的バランスよく含まれた味ですが、岐阜や滋賀のあたりまで行くと甘味が抑えられ、塩味が少し強くなっています。そして大阪で甘味が消失し、宮崎まで南下すると甘味が主役に。
特徴的なのはやはり旨味・塩味に特化した大阪と旨味・甘味に特化した宮崎ではないでしょうか。
甘い卵焼きの地域は?
では、甘味にフォーカスして、一番甘い卵焼きを焼くのはどこなのか地域別に見てみます。
やはり宮崎がダントツ。東京の卵焼きは「甘い」と称されますが、宮崎のほうが甘いようです。県によって甘くないところもあるかもしれませんが、九州に属する県の食べ物が甘いというのは納得のいってしまう結果です。
しょっぱい卵焼きの地域は?
次に塩味を比較してみましょう。この中でもっともしょっぱい地域はこちら。
ちょっと意外かもしれませんが、岐阜の卵焼きがこの中では一番しょっぱいという結果に。次点の大阪とは、味覚センサーレオの数値で言うと0.2ポイント以上、約90%の人がわかるであろう有意差があります。“しょっぱい”と言われる大阪は、滋賀とあまり変わりませんでした。
旨味がある卵焼きの地域は?
では最後に旨味を比較してみましょう。
大阪がもっとも旨味が強いようですが、大阪と滋賀、滋賀と宮崎は僅差です。ただ、滋賀やとくに宮崎は甘味が強いため、旨味のある卵焼きというイメージは抱きにくいかもしれません。もっとも旨味が低いのは東京です。塩や砂糖で「調味する」ことに重きを置いている様子ですね。
まとめると
これらの地域の結果をまとめると、こんな感じでしょうか。
東京:旨味は他の地域に比べて少し弱めだが、3つの味が比較的バランスよく含まれている。
岐阜:旨味・塩味が強くしょっぱいよりだが、わずかに甘味もある。
滋賀:旨味・塩味が強くしょっぱいよりだが、甘味もある。
大阪:旨味・塩味に特化。しょっぱいというより旨味が強い。
宮崎:甘い。
旅行に出かけた際など、ご当地グルメだけでなく、卵焼きのような家庭の味に注目してみても面白いかもしれませんよ。
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