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なぜ、味覚センサーが「AI(人工知能)」でなければいけないのか

なぜ、味覚センサーが「AI(人工知能)」でなければいけないのか

味博士の研究所の「味覚センサーレオ」は、AI(人工知能)です。ヒトの味覚を模した機能を搭載しているため、出力される定量データが「ヒトが感じる味」であることが強みです。

……ここまでは良いのですが、昨今ではなんでもかんでもAI(人工知能)という名前が付いていて、そもそもなんでAI(人工知能)の機能を持っているのか、単に流行に乗っているだけなんじゃないか、と思いませんか?筆者は思います。

というわけで今回は、味覚センサーレオを開発した味博士に、味覚センサーにおけるAIの必要性を尋ねてみることにしました。

──味覚センサーにAIって必要あるんですか?

味博士:むしろ、味覚センサーにこそAIは必要だと思います。電気信号を解析して応答を返すだけならAIを搭載していなくてもできるかもしれませんが、人間の味覚は結構、複雑ですからね。

基本5味(甘味・旨味・酸味・苦味・塩味)だけでも、味の相互作用というものがあります。例えば「スイカに塩をかけると甘味を強く感じる」といった味の抑制効果、「味噌汁に塩を加えることで旨味が強くなったように感じる」といった味の対比効果がそれですね。

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他にも、食べ物を口に含んだ瞬間に感じる「先味」、口の中で後からでくる「後味」……これはビールがわかりやすいかもしれません。ビールの味を表現する「キレ」は「後味のスッキリ感」のことなので。

──コクや食品同士の食べ合わせを測る「相性度」もそうですか?

味博士:そうですね。コク、相性度は分析した基本5味(甘味・旨味・酸味・苦味・塩味)をもとに導き出しますが、そもそも基本5味(甘味・旨味・酸味・苦味・塩味)の数値が重要になってきますから。

──味覚センサーレオの「AI」な部分というのはどこなのでしょうか。

味博士:もっとも大きな要素は、「ヒトが味を感じる仕組みを模する」というところです。ヒトは舌にある「味蕾」で料理や飲料から味の信号を感じ取り、その信号をニューロン(神経細胞を通して、脳で「甘い」「苦い」といった味を知覚します。

味覚センサーレオではセンサー部分が味蕾の代わりに電気信号を測定し、AIの象徴であるニューラルネットワーク(人工的な知能の実現)を通して、味を定量的な数値データとして出力するんですよ。

味覚センサーとは?

──ニューラルネットワークがなかったら、たとえ味覚の分析ができたとしても、「ヒトが感じる味」をデータとして出している……とは言えないかもしれないですね。

味博士:そうですね。このニューラルネットワークを用いることで、出力の最適化が可能になります。味には流行がありますよね、苦味が流行ったり、酸味が流行ったり。それによって、人々の「美味しい」も変わります。そうした味の流行も学習させることで、常に今の「ヒト」と同じ味覚を保ち続けられるんです。

味覚センサーレオ
味覚センサーレオ

つまり、味覚センサーがAI(人工知能)であることによって、ヒトの味覚に非常に近いデータを出し続けられるということのようです。確かにこれはAI(人工知能)でないといけない理由になりそうですね。

味博士とは

ヒトの味覚を模した人工知能搭載の味覚センサー、「レオ」を開発した人。AIスピーカーはGoogle Homeをチョイス。

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