冷めたコーヒーのほうが苦い気がするんだけどどう?
暑さが強みを増し、夏の訪れを感じさせる季節になってまいりました。
みなさんの飲む飲料も、温かいものから冷たいものへと変化していることと思います。
ブラックコーヒーを愛し、1日の飲料がほぼブラックコーヒーで構成される筆者も、カフェに入ってコーヒーを飲む際、アイスコーヒーを頼んだり、冷房の影響で店内が寒く、ついホットコーヒーを頼んだ場合にも少し冷めてから飲むようになりました。ちなみに体を冷やさないよう、夏場でもなるべく温かい飲料を飲むようにしています。
さて、ここでちょっと疑問に感じたことがひとつ。
「冷めたコーヒーって、ちょっと苦くない?」
冬場に「あつっ」と言いながら飲んだコーヒーよりも、この時期にちょっと冷めたコーヒーを飲んだほうが、苦く感じるような気がするのです。
これは、気のせいなのか。あるいは事実なのか…どちらなのでしょうか?
コーヒーは冷めると味が変わる?
さて、「気のせいなのか?」を調査するにあたって、まずは飲み比べと行きたいところですが、正直この季節に熱いコーヒーなんて飲みたくはありません。人間、自分に正直が一番です。
何より、味覚センサーレオの存在があります。
私が飲んで比べるより味覚センサーレオで検証したほうが効率的ですし、ストレスもありません。
以前、「かにみそヨーグルト」は本当においしいのか?という記事を公開した際、自分で食べずに味覚センサーレオに検証させたことで、味博士twitterフォロワーのかたから「自分では食べないのかよ!」という鋭いご指摘を受けました。もしかすると今回も同様、「自分で飲めよ」と言われるかもしれませんが、断固として飲みません。
というわけで、味覚センサーレオでコーヒーの温度による苦味の変化を計測したのがこちら。
表で表すと一目瞭然ですね!
冷めたコーヒーが苦い気がするのは気のせいではなかった…
事実、温度によってコーヒーの苦味は変化していたのです。
苦味には持続性がある
基本5味のうち、甘味・旨味・苦味には持続性があります。対して酸味・塩味は残りくくなっています。
その理由はこちらの記事にもあるとおり、酸味物質と塩味物質が小さなイオンであるのに対し、それ以外の味の物質は砂糖やグルタミン酸ナトリウム、カフェインなど、イオンよりもはるかに大きい物質であることが関係していると考えられます。
例えば酸味の強いコーヒーを飲んだ際でも、冷めると酸味が消え失せ、苦味だけが残っているように感じるのはこのためなのです。
冷めるとコーヒーが苦くなるのは、コーヒーに含まれる酸味や塩味が下がったことで、苦味が強く感じられるようになったため、といえますね。
冷めたコーヒーのガツンとくる苦味が苦手なかたは、コーヒーが冷める前に同じく持続性のある甘味を、冬場より多く足してみてください。
「苦味大好きハァハァ」というような苦味中毒者のかたにとっては、少し冷めたコーヒーがちょうどいい、いまの時期が天国かもしれませんね。
温度での味の変化についてもっと詳しく知りたいかたはこちら:【味コラム】長続きする味・しない味