子どもの適切な生活習慣とは?体型と生活習慣の関連

大人だけでなく、子どもの肥満も増加傾向にあります。児童期の体型は成人に移行しやすいという報告[*1]もあるため、子どもの頃の体型というのは大切なもの。肥満が高血圧、中性脂肪の増加といったリスクを増大させるのは言わずもがな……とはいえ一概に「痩せていれば良い」と言えないのも難しいところです。

児童の痩身については、身体の発達の段階にもよりますが、骨量の減少といった将来の健康に対する影響が懸念されることもあるためです[*2]。これは適切に食べ、しっかりと運動した健康的な痩せ方か、ダイエット目的で成長期にもかかわらず食事を抜いてしまうといった不健康な痩せ方かによっても異なるでしょう。

では、健康的な子どもはどのような生活習慣を送っているのか。はたまた、適切な生活習慣とはどのようなものなのか。2013年度の新潟県内における小学校3年生〜高校3年生の男女7,395名を対象とした研究[*1]をご紹介します。

体型と生活習慣の関係とは

対象の7,395名の内訳は小学校男子1,482名、小学生女子1,505名、中学校男子910名、中学生女子830名、高校男子1,280名、高校女子1,388名。

研究利用への許可を得て、新潟県教育庁が新潟県内の小学校15校、中学校9校、高校5校を対象に行った「新潟県体力・生活実態調査」の匿名化されたデータから、児童生徒の身長・体重(定期健康診断によるもの)、食習慣、運動習慣、睡眠習慣、その他テレビの視聴やゲーム実施などの習慣、計15項目を用いて分析が実施されました。

1. 運動習慣

全学年の男女の標準児において、「週3日以上運動する」「1回の運動時間が30分以上」「運動部活動に所属している」という望ましい運動習慣を満たす割合が多かったようです。また、痩身傾向児や肥満傾向児においては、痩せと肥満という対極の体型にもかかわらず、この習慣を形成する者の割合が低かったそう。

標準時の次に望ましい運動習慣が形成されているのは、小・中学生で痩身傾向児。痩せとはいえ小・中学生では内臓や骨格が発達しきっていないことから健康的な痩身である可能性があるようです。ただし、肥満については小・中学生は運動活動量の不足による不健康な肥満となっていることも。

高校生の場合は痩身健康児と肥満傾向児が同程度。ただし高校生の場合は小・中学生とは逆に、痩身では体脂肪だけではなく筋肉量も少ない不健康な痩せ型であったり、骨格筋量が多いために肥満と判定される健康的な過体重が含まれている可能性もあるとされています。

2. 食事習慣

「朝食を毎日食べる」、「食事の際によく噛んで食べる」、「家族(大人)と食べる」という項目において、男女ともに痩身傾向児に高い割合で見られたようです。

また、「間食する」「夜食する」という一見肥満につながりそうな項目について、意外と肥満傾向児ではその割合が低いという結果に。これについては、肥満傾向児が意識的に間食や夜食を我慢している可能性があるようです。

とはいっても成長期。間食を我慢するストレスや「お腹が空いた……」という状態が長く続くことで、食事の際につい食べ過ぎてしまう経験は誰しもあるでしょう。小児科と小児歯科の保健検討委員会からの報告で、家族との団欒の中で摂られた1日3回の食事、リズムのある生活が営まれている場合には間食は望ましいものとも言われています。

3. 睡眠習慣

睡眠についてはざっくり小学生と中・高校生で結果がわかれています。まず、適切な睡眠時間としては、平均睡眠時間から小学生は「8時間以上10時間未満」、中学生は「7時間以上9時間未満」、高校生は「6時間以上8時間未満」とされました。また、目覚めの覚醒レベルは「いつも目覚めはすっきり」が望ましい基準。

小学生については、男女どちらも肥満傾向児に睡眠時間が短い様が見られたそう。また、「8時間以上10時間未満」という適切な睡眠時間の児童は「いつも目覚めがすっきり」している割合も多く、日中きちんと運動することで夜、深い睡眠を摂ることができ、かつ翌日の適切な運動にも繋がるのではないかと推察されています。

中・高校生においては、中学生女子、高校生男子において、肥満傾向児に睡眠時間が短い様が見られたようです。ただし睡眠時間と「いつも目覚めがすっきり」という覚醒度との関連が見られなかったことから、そもそもの「適切な睡眠時間」の定義において十分ではない可能性があるとされています。

4. その他の習慣

全学年の男女ともに、テレビの視聴、ゲームの実施時間それぞれ「1日2時間以上」の項目に1番当てはまるのが、肥満傾向児という結果になりました。テレビの視聴やゲームの時間が長くなることで活動量が少なくなるのは想像に難くないですね。

子どもに何時間テレビやゲームを許すかというのは各家庭の教育方針によって異なるとは思いますが、この結果から見ると「2時間」というのはひとつの目安になるかもしれません。

人数の偏りがあったり、有意な傾向が認められなかった項目もありますが、以上の結果から適切な生活習慣として挙げられるのは以下のとおりではないでしょうか。

1. 運動:「週3日以上運動する」「1回の運動時間が30分以上」「運動部活動に所属している」
2. 食事:「朝食を毎日食べる」、「食事の際によく噛んで食べる」、「家族(大人)と食べる」
3. 睡眠:「8時間以上10時間未満」、「いつも目覚めがすっきり」
4. その他:テレビ・ゲームともに「1日2時間未満」

子どもの頃の生活習慣で、悪かった点を大人になってから直すのは意外と大変。子どもには小さいうちから適切な生活習慣のクセをつけてあげたいものですね。

参考:
*1 学校段階別にみた肥満傾向児と痩身傾向児の生活習慣における共通点と相違点
*2 厚生労働省「食を通じた子どもの健全育成(-いわゆる「食育」の視点から-)のあり方に関する検討会」報告書について

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