よくサルが進化したのがヒトだと言います。
実際には、サルの延長線上にヒトがいるわけではなく、サルっぽい生き物からいろいろなサルが分岐してその後、その現生人類が生まれたわけですが、同じような意味合いでエビが進化したのがカニと考えられています。
分類上は、エビもヤドカリもカニも節足動物門甲殻亜門軟甲鋼十脚目。十脚目はエビ目とも呼ばれます。みんな広い意味ではエビの仲間なんですね。
ざっくり言うと、尻尾が長くこれを使って泳ぐのがいわゆる「エビ」、泳ぐのをやめて巻貝の殻に入ることにしたちょっといびつな尾を持っているのが「ヤドカリ」、尻尾をふんどしみたいに身体の前に固定して殻を硬くしたのが「カニ」。
この3種の味の違いは進化の味なんですね。
あなたはエビとカニの味を区別できますか?
もちろん食べ物としては食感や水分量が違うのでカニ肉とエビ肉は割と区別できるかもしれません。
ただ、味の特徴としては、エビもカニも独特な甘味が決め手になります。これは、グルコースその他の糖類ではなく、遊離アミノ酸、特に甘味のあるグリシンが豊富だから[*1]です。また、旨味成分のグルタミン酸もたくさん含まれています。
おそらくすり身にして味付けしたら、カニ肉とエビ肉は少し区別が難しいのではないでしょうか。
お時間がある方はカニ肉とエビ肉を食べ比べてみてください。パーティー等でやると盛り上がるかもしれませんよ!
味覚センサーレオくんで比較してみた
では、味の違いはどのようなものなのでしょうか。ヒトの味覚を模した人工知能である、味覚センサーレオでカニとエビを比較してみました。
カニはタラバガニ、エビは大正エビです。ちなみに、タラバガニはヤドカリの仲間です。
進化の流れとしては、エビ→ヤドカリ→カニのようです。旨味と塩味が強いという味の出方は少し似ていますね。コクも同じくらいです。
ただし、酸味・苦味は同程度なものの、甘味・旨味・塩味は有意差があります。甘味・旨味はカニのほうが強く、塩味はエビの方が強いです。有意差は、甘味は0.1pt以上で約60%の人がわかる程度ですが、旨味・塩味は0.2pt以上、こちらはほとんどの人がわかる差です。
調味料等を追加することを考えると、区別をつけるには「旨味」がキーになるでしょう。
生き物は一見、見た目が違っていても結構つながりがあったりします。こんど、カニやエビを食べる機会があったら、その違いに悠久の進化の時の流れを感じるのも乙かもしれません。
参考:*1 鴻巣庄二「魚介類の味」
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