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腸でも味を感じる?味覚を受容する機能のふしぎ

腸でも味を感じる?味覚を受容する機能のふしぎ

味は舌だけで感じているのではなかった

味と言えば舌で感じるものです。ただ、昆虫は脚先で味を感じることもありますし、魚類では口中以外に味蕾があることも。さらに、舌どころか口もない植物にも味覚があるようです(『驚愕!植物の「味覚」が発見される』)。

「さすがに人間が味を感じるのは舌だけだろう」と思いきや……実は味の受容体は舌以外にも存在したんです。

味物質が味覚受容体に結合すると味細胞が興奮する

現在、味には甘味・旨味・塩味・酸味・苦味の5種類の基本味があると言われています。では、どうやってこれらの味を感じているのかはご存知ですか?

味細胞には基本味に対応した受容体があり、これに味物質が結合したときに味細胞が興奮(脱分極)する仕組み。

例えばブドウ糖が口の中に入って来ると、舌の味蕾にある味細胞の甘味受容体に結合します。その結果、味細胞が興奮して味神経を通して脳に電気信号が伝達され、「甘い」と感じることになります。

受容体にはいろいろな種類がありますが、おもしろいことに甘味受容体と旨味受容体は構造的に似ています。

具体的には、哺乳類の場合T1Rファミリーと呼ばれるT1R1、T1R2、T1R3という3つの分子があります。これらはいずれもタンパク質で、味細胞の細胞膜に一部が埋め込まれるかたちでくっついています。

T1R2とT1R3が結合しているのが甘味受容体で、T1R1とT1R3が結合しているのが旨味受容体。

甘味受容体には1種類の物質しか結合できないわけではありません。グリシンというアミノ酸の一種も結合します。また人工甘味料が甘く感じるのは、人工甘味料となる化学物質が甘味受容体に結合するため。

旨味受容体にも複数の物質が結合可能です。ヒトの場合、昆布や植物系の旨味であるグルタミン酸やかつお節など動物系の旨味であるイノシン酸等が結合します。

味覚受容体は腸にも存在することがわかってきた!

さて、ブドウ糖は甘味受容体に結合する甘味物質の代表です。ブドウ糖はエネルギー源として重要ですが、体内に高濃度のブドウ糖を放置すると様々な有害作用をもたらします(糖尿病)。

このため、体内にブドウ糖が入ると血糖値(血中ブドウ糖濃度)を下げるようとしてインスリンが放出されます。

しかしブドウ糖を血液に注入した場合よりも、腸内に注入した方がインスリンの放出が急激であることが長年知られていました。

血糖値は血液中のブドウ糖濃度ですから、血液中のブドウ糖が増えたらそれを下げようとするのはもっとも。しかし、腸内に注入した方がブドウ糖を下げようとする作用が急激なのはなぜでしょうか。

その理由は……

実はT1Rファミリーの味覚受容体は腸内にも存在していたのです。

つまり、腸も甘味を感じていたというわけ。

「甘いの入ってきたで。はよ血糖値下げんとヤバいで!」という具合で腸が血糖コントロールしていたんですね。

現在では旨味受容体も腸内にあることがわかっています。なぜ、腸で旨味を感知する必要があるのか……。これはこれでいろいろ謎の多い問題です。

「腸は第2の脳」とも言われますが、脳内味覚の他に腸内味覚があるのかもしれませんね。

参考:
東原和成編 『化学受容の科学』(2012)(化学同人)特に第5章
加治いずみ,秋葉保忠「上部消化管における栄養素感知と輸送機構」

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