大根の上下の通説は本当?
夏はおろしてさっぱりと、冬はおでんでほっこりと食べられる大根は、一年を通して私たちの食卓で活躍しています。このお馴染みの野菜ですが、「上の部分は甘くて煮物向き、下の部分は辛いので薬味向き」というのは聞いたことがありませんか?よく言われることだけど、これは本当なのでしょうか。
大根の一番おいしい食べ方を知りたい!という方のために、改めて調べてみました。
そもそも、大根はなぜ辛いの?
大根の部位による辛さの違いを検証する前に、大根の辛味の正体を解き明かしていきましょう。大根を食べたときに感じるあの独特な辛味はイソチオシアネート(辛子油)という成分によるものなのです。このイソチアシオネートはアブラナ科の野菜に含まれ、ワサビのツーンとした刺激の原因でもあります。
大根には、この辛味成分の元であるグルコシノレート(辛子油配糖体)が含まれており、これがミノシナーゼという大根の中にある酵素の働きによってイソチオシアネートに変化します。
しかしながら、このグルコシノレートは単体だと辛味をもたず、あくまでもミロシナーゼとの反応によって成分が変化することで辛味成分が生成されるのです。
大根の辛味成分の分布
大根のあの辛さは辛味成分であるイソチオシアネートの仕業であると分かりました。それでは、一本の大根の中にはどのようにその辛味成分は分布されているのでしょうか。
イソチアシオネートの元である、グルコシノレートとミロシナーゼは植物の維管束形成層付近と通道組織、つまり水分や養分を運ぶ管の周りに集中しています。そして、大根の場合はその組織が皮のごく表面と下部のしぼまった部分に密集しているのです。このことから、大根の辛味成分は外側と下部に多いと言えます。
世間でいわれていることは正しかったということですね。
辛味を調整する方法は?
それでは、大根の辛味を活かしつつ、おいしく食べるにはどうすればいいのか、大根の辛味を調整する方法を考えていきましょう。
第一に、大根には旬があり、夏は辛く冬は甘く育ちます。というのも、冬は寒さに負けないように糖分を多く蓄えるからなんだそうです。また、大根は成長するにつれて形成層の割合が全体の中で少なくなるため、大きいものほど辛味成分は少なくなります。
そして、夏でも辛くない大根がイイ!という方には加熱調理がおすすめ。辛味成分は熱に弱いため、下部をすりおろした大根でもレンジでチンすれば辛味は和らぎます。
季節や食べ方によって様々な調理方法がある大根は万能な野菜です。その特徴を知って、おいしく食べてくださいね。
参考
大根(ダイコン・だいこん)の栄養価と効能:旬の野菜百科
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2985
大根中の辛味成分の比色定量法
大根の成長と辛味成分