ちょっと待った!その生姜、本当に体を温めてる?

寒くなるとよく食べる生姜。実は体を冷やしているかも?!

だんだんと寒い日が増えてきました。そんな日には生姜をたくさん入れたお鍋や、生姜ドリンクで芯から冷えた体を温めたくなりますよね。

そんな「冷えた体を温める」というイメージの強い生姜ですが、使い方を間違えると逆に“冷えた体をより一層冷やしてしまう危険性”があるのを知っていましたか?

せっかく体を温めようとして生姜を食べているのに、結果的に体を冷やしてしまってはもったいない!今回は正しい生姜の使い方についてご紹介していきます。

生の生姜のジンゲロールは体の表面を温めるだけ。そのままだと冷えのもと

生の生姜に含まれている成分の1つに『ジンゲロール』というものがあります。生姜の辛味成分の1つがジンゲロール。

このジンゲロールには効能のひとつとして血管を拡張し血行をよくして、体の深部にある熱を手先や足先に運んでくれる働きがあることがわかっています。

しかし、血流が良くなるぶん一時的には温まったように感じますが、体の深部の熱は奪われてしまっており、また気温が低い場合は拡張した血管が冷やされることで逆に体を冷やしてしまう恐れがあるということ。せっかく体を温めようとしているのに、これでは全く意味がありませんね。

でも、ガッカリするのはまだ早い。ちゃんと生姜を食べて体の芯から温まる方法があるのです。
それは…生姜を『加熱』、『乾燥』させること。

加熱してショウガオールにすることで体の芯からポカポカに

生の生姜にふくまれるジンゲロールは体を冷やす恐れがありますが、そのジンゲロールを100℃以下で加熱したり乾燥させたりするとその一部が脱水症状を起こし、『ショウガオール』という成分に変化します。

ジンゲロールから変化したショウガオールには体幹部を中心に熱を作り出して体を芯から温める働きがあります。これぞまさに冷えに悩む私たちが求めていた生姜の効果ですね!

またショウガオールは『加熱しただけ』『乾燥しただけ』よりも、『加熱してから乾燥させる』という工程を行った方が増えることがわかっています。
おすすめなのは電子レンジやオーブンなどで加熱した生姜を天日干しした『干し生姜』を作ること。手間はかかりますが、これで体ポカポカ効果がアップするのであれば実施しない手はありませんね。

ここでも1点注意点が。せっかく温めてジンゲロールをショウガオールに変化させても、その温度が下がり、ショウガオールの成分が水と結びつく環境下では再びジンゲロールに戻ってしまう恐れがあります。生姜料理を食べる時には必ずアツアツを頂くようにしましょう。

ショウガオールの魅力ばかりプッシュしていますが、ジンゲロールにもちゃんといいところがあるんです。たとえば、風邪のひきはじめには、生の生姜をすりおろしてジンゲロールを摂ることで解熱・殺菌作用を期待することができます。

寒空の下で芯から冷え切った体にはやはりショウガオール。生姜は1日10g程度の摂取が望ましいといわれています。まだ秋晴れの日があるうちに干し生姜を作り置きしておいて、今年の冬はぬくぬくの生姜ライフを送ってみてはいかがでしょうか。

参考:
永谷園生姜部
生姜摂取と健康づくり

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