味博士の研究所が独断と偏見で考える、「次に来る食材はこれなんじゃない?」のコーナーです。塩レモン、塩麹と、栄養的にも良いとされる万能調味料が注目されましたが、次に来る塩系調味料は、この『マッサ』ではないでしょうか?
そもそも、『マッサ』って何?
赤パプリカを塩漬けした調味料で、「マッサ・デ・ピメンタォン」という正式名称だそう。
ポルトガルでは、日本の味噌やお醤油のように、どこの家庭にもあるポピュラーな食材の1つです。
そんな『マッサ』は、最近、日本でもじわじわと人気が出ているようです!
そこで今日は、日本人も惹きつけられる『マッサ』4つの魅力とアレンジメニューをご紹介します。
魅力1. 栄養価が高いこと
『マッサ』に使われるパプリカは、細胞の老化を防いでくれるビタミンA・C・Eを豊富に含んでいます。しかもパプリカのビタミンは、加熱に強く、変色しにくいので、美容や健康を気遣った食事を手軽に作ることができ、カラフルな色が食欲を増進させてくれる調味料です。
魅力2. 簡単に作れて、レパートリーも豊富
レシピは簡単。パプリカと塩さえあれば、マッサは自宅でも作れます。
【材料】
赤パプリカ
塩
オリーブオイル(お好みで)
【作り方】
⑴パプリカは、ヘタと種を取って6等分する。多めの粗塩をまぶし、タッパーや瓶などに入れて冷蔵庫で2日〜1週間ほど寝かせる。
(写真は左がBefor、右が2日後の様子です。塩の浸透圧の作用でパプリカ中の水分が脱水され、どんどん旨味が凝縮されています。)
⑵パプリカから出た水気を拭き取る。好みでオリーブオイルを加え、フードプロセッサーでペースト状にしたらできあがり。
市販のものを購入してもOKですが、自宅でも簡単に作れるので、ぜひ“つくおき”してみては如何でしょう?
実際のマッサを使ったレシピは後ほどご紹介しますので、最後までぜひ読んでくださいね。
魅力3. 味のマリアージュが期待できる
“マッサ”は塩気・甘み・酸味のバランスが良く、肉などの旨みを引き出してくれるため、美味しい料理が手軽に作れて便利です。
実際に、食卓塩だけで味付けた豚肉Aと、マッサをつけて焼いた豚肉Bとで味のバランスがどう変わるかを検証してみました。
結果はマッサをつけて焼いたBの方が甘みや酸味、旨味が増し、全体としてコクがアップ!さらに官能評価ではBの方が柔らかくおいしいという結果になりました。
これは、パプリカに含まれる“プロテアーゼ”というたんぱく質分解酵素の働きにより、お肉が柔らかくなり、マッサの持つ酸味や旨味がよりお肉に浸透しやすくなったためと予想することができます。
プロテアーゼのたんぱく質を分解する作用を利用した例として、パイナップルの酢豚や生姜焼き、塩麹などが挙げられますが、マッサもお肉の調理に最適の調味料だということがわかりますね。
魅力4. 子供でも食べやすい
子供の大好きなパスタやハンバーグなどのソースとして使ったり、『マッサ』を甘い味つけにアレンジして「甘マッサ」にすると、ジャムと同じようにパンやクラッカーに塗るだけで、美味しくいただくことができます。
ピーマンやパプリカ嫌いのお子さんに、マッサを使ったレシピで気付かれずに食べてもらえたら、苦手意識も克服するかも知れませんね。
マッサを使った簡単レシピ
「なるほど、魅力ある調味料だということはわかった。興味はあるけど、ポルトガル料理なんて馴染みないし、使いこなせないのでは?」と思っているそこのあなた!
お待たせしました!
『マッサ』の簡単レシピをご紹介します。
〜エビとアボカドのマッサパスタ〜
【材料】(2人分)
エビ 8尾
アボカド 1個
パスタ 200g
にんにく ひとかけ
マッサ 100g
オリーブオイル 適量
こしょう 適量
【作り方】
⑴エビは殻のまま(こうすることで旨味も栄養もアップする)耐熱容器に入れ、分量外の料理酒または白ワインを大さじ1ほどふり、ふんわりとラップをかけ、600wの電子レンジで1分ほど全体が赤くなるまで加熱する。粗熱が取れたら、ボウルの中で殻をむき、煮汁ももれなくボウルの中へ!
⑵にんにくは皮をむいてみじん切りにし、アボカドを一口大に切っておく。
⑶フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、中火にかけて香りがたつまで加熱する。マッサを入れ、火が通ったら、⑴のエビを煮汁ごととアボカドを入れて混ぜ、全体が絡んだらパスタを入れて、こしょうで味付けする。(この間5分ほど。エビに火が通っているので、全体が絡まり味が馴染めばOK!)
パプリカに多く含まれる、カロテンは油に溶ける脂溶性ビタミンで、油と一緒に取ることでビタミンAとしての吸収率がより高くなります。また、ビタミンAは酸化しやすい性質を持っているため、抗酸化作用を持つビタミンEを一緒に摂取すると効果的です。したがって、オリーブオイルやビタミンEを多く含むアボカドとの組み合わせは理想的と言えるでしょう。
〜マッサ生春巻き〜
【材料】(2人分)
生春巻きの皮 4枚
生ハムorむきエビor鶏ささみ 100g
レタス、水菜、ニラ、ビーフンなど好みの具材
マッサ 適量
【作り方】
⑴むきエビ、鶏ささみなら、分量外の塩コショウ、酒をふり電子レンジでチンしておく。
⑵好みの野菜を切っておく。
⑶生春巻きの皮を1枚づつ水にさっとくぐらせ、その上に⑴、⑵を置き、マッサを適量のせて巻く。
マッサ自体に旨味や塩味があるので、調味料はこれだけで味が決まるんです!いかがでしょう?簡単でしょ?
ちなみに、マッサといえば赤パプリカが一般的のようですが、今回は試験的に黄パプリカと緑のピーマンでも作ってみました。黄パプリカは赤パプリカとほぼ同じような味でした。ピーマンはやや青臭かったですが、もともとピーマンはナスと相性が良いので、ナスの煮物にすると意外にも美味しくいただけました。