【衝撃】生きた乳酸菌を食べても腸内に定着するわけではない

「菌活」にまつわる誤解をときたい

ヨーグルトや飲料に含まれる乳酸菌ビフィズス菌は、お腹や体の調子を整える働きがあるとして親しまれています。特に最近は、腸内にいる「デブ菌」によって太りやすい体質になるなど、腸内細菌のはたらきに注目が集まっているため、菌のチカラで健康を目指す「菌活」にいそしむ人も増えているようです。

ところで、ヨーグルトや乳酸菌飲料でこのような表現を見たことはありませんか。

「生きた乳酸菌で、腸内環境を改善」

このような魅惑的なキャッチコピーからあなたは、

「ヨーグルトを食べれば、腸内に乳酸菌が定着して良い環境になるのかも!」

と期待に目をキラキラさせてしまうかもしれません。

でも実は、それは間違いだったのです!

食べた菌は腸内に定着しない

最近ではお店に並んでいるヨーグルトの種類も増えており、菌のはたらきを高めた商品も多く登場しています。しかし、それらの多くは、腸内を通過中に仕事をするだけで、基本的には腸内に定着するわけではありません。つまり、食べるのをやめた途端、ヨーグルトに含まれていたビフィズス菌や乳酸菌はいなくなります。

ちなみに、腸内を通過して仕事をしている時間は10時間以上だと言われており、まあまあ長いです。毎日食べていれば、半日ぐらいは腸内にいてくれる計算になりますね。ヨーグルトや乳酸菌飲料を毎日食べたり飲んだりすることに意味があるのは、毎日続けていれば定着してるかのように毎日働いてくれる、という理由があるからなのでした。

つまり、菌たちはパートの主婦的存在で、毎日働けば(食べれば)フルタイムのパートになる、そういうことです。

乳酸菌やビフィズス菌がお腹によい本当の理由

それでは、菌にフルタイムで出勤してもらって一時的にお腹の調子がよくなっても、フルタイムじゃなくなった途端にお腹の調子が元に戻ってしまうのでしょうか。

必ずしもそうではありません。
乳酸菌やビフィズス菌が腸内を通過中に行う主な仕事とは、糖分から乳酸や酢酸といった酸を作ることです。こうした酸が、体に有害な物質を作る菌、いわゆる「悪玉菌」の数を減らし、体に良い影響を与える「善玉菌」がのびのびと棲みやすい環境を作るのに役立ちます。また、菌が生きたまま届かない場合は、菌の死骸に含まれる成分が善玉菌のエサとなったり、有害物質を吸着したりすることで、腸の環境を良くすることが知られています。

このため、ある程度の期間食べ続ければ、食べ続ける前よりも善玉菌が増えたより良い腸内環境になっている可能性はあるのです!

乳酸菌やビフィズス菌は定着はせずとも、このような形で腸内環境を改善してくれるようです。食べても食べても腸に棲みついてくれないのはちょっと悲しいですが、お腹の調子が気になる方は、ぜひ頻繁に食べ続けてみてくださいね!

参考:
身近だけれど以外に知らない乳酸菌・ビフィズス菌の姿
バイオジェニックスの時代へ

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