最強のふりかけ!?3つの味を一気に強める「アラピリダイン」がスゴい!

味覚を変化させるのは調味料だけじゃない

あなたは「スイカに塩をかけると甘くなる」「コーヒーに砂糖を加えると苦味が弱まる」といった具合に、調味料によって味覚が変化することを経験的にご存知だと思います。一つの味覚の変化が、関係ない別の味覚にまで影響を与えるのは不思議ですよね。

ところが、世の中には、一つで三つの味覚に影響を与えてしまう凄腕が存在するようです。人の味覚は甘味・塩味・旨味・酸味・苦味の五つしかありません。そのうちの三つを巧みに操ってしまうとは只者ではありませんね。一体何者なのでしょうか。

ヤツはビーフブイヨンの中から発見された

味覚に影響を与える界でのカリスマ的存在であるヤツの名は「アラピリダイン」。ビーフブイヨンの中から発見された物質で、なんと甘味・旨味・塩味を強めてしまう働きがあるのです。ちなみに、アラピリダイン自体には味がありません。このように、自分は味がしないくせに他の味に影響を与えるような物質は「味覚修飾物質」と呼ばれています。

2003年にマンチェスター大学の研究者が行った研究では、さまざまな味覚物質とアラピリダインを組み合わせて味覚の強さが変わるかどうかを調べられました。
その結果、スクロース(砂糖の主成分)の甘味の強さ、グルタミン酸ナトリウム(だしの成分)の旨味の強さ、塩の塩味の強さが、場合によっては4倍も強くなることがわかったのです。

アラピリダイン「僕のことを覚えていてね・・・」

アラピリダインとやら、減塩対策やダイエットに使えそうじゃん!!

そうなんです、さすがは鋭いですね、私もそう思いました。アラピリダイン、ぜひとも味覚センサーレオでその効果のほどを調べてみたいのは山々なのですが、残念ながらまだ市場には出回っていません。研究の数も多くないようなので、もしかしたら市場に出回る日は来ないのかもしれません。ビーフブイヨンというややニッチな食材の中から商業的に必要な量を取り出すのはコスト的に至難の技なのかもしれませんね。

・・・と、出会った矢先からその将来が案じられておりますが、もしも安全性が確認されて私たちが使えるようになれば、減塩・カロリー対策に役立ったり、食べ物を美味しくする最強のふりかけとして君臨し、マヨラーならぬアラピリダイナーなるものが現れるほどその影響力は絶大でしょう。素晴らしい才能を持っているのにこのままでは忘れ去られかねないアラピリダイン。その存在を、あなたさえ覚えていてくれれば、その幻の調味料とスーパーで出会える日もくるかもしれませんよ!

参考:(+)-(S)-Alapyridaine—A General Taste Enhancer? 

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