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すごい研究結果の賜物!涙の出ないたまねぎとは

2016年11月9日

たまねぎは切ったら涙が出るものでしたが……

すごい研究結果の賜物!涙の出ないたまねぎとは

切ったら涙が出るし独特の臭さがあるしで、一部の人からは調理しづらいと嫌われがちなたまねぎ。しかし熱すると旨味と甘さが生まれるし、生は生でサラダに爽やかな旨味を添えることで活躍できる食材です。

それゆえに、「切ったときにツーンとした涙を誘う刺激臭さえ無ければ…!」と思う人は多いようです。

実はそんな人々のニーズに答えるべく、ハウス食品が10年の歳月をかけて研究し品種改良して生み出した涙の出ないたまねぎ“スマイルボール”が、昨年から市場に登場。今年10月末から市場を拡大して札幌、東京、名古屋、大阪の一部の百貨店や専門店にて数量限定で販売開始しているんです。

秘密は酵素反応

”スマイルボール”は、たまねぎを切ったときに刺激で涙がでるような催涙性や辛味がほとんどなく甘味を強く感じ、食後に口の中のたまねぎ臭さが残ることもないというのがウリ。

このメカニズムはたまねぎを切ったときに起こる酵素反応に秘密があります。

たまねぎを切ると主要硫黄成分(PRENCSO)を基質とした、アリイナーゼと催涙成分合成酵素(lacrymatory factor synthase:LFS)という2段階の酵素反応によって涙を誘う催涙成分(lachrymatory factor)が生成されます。これが辛みのもとにもなるのですが、そのうち1段階目の酵素であるアリイナーゼの活性がとても弱いたまねぎを非遺伝子組み換え手法によって作出したものが“スマイルボール”。

ハウス食品がスマイルボールを生み出す過程で発見したこの「2段階の酵素反応によって催涙成分が生成される」ことは世界で最初の発見となり、2013年には人々を笑わせて考えさせる研究に送られるイグノーベル賞を受賞しました。

なぜたまねぎだけ催涙効果があるの?

アリイナーゼはアリシンに変化して刺激臭物質、つまりツーンとしたニオイを生成します。これはご存知の通り、ネギやニラ、にんにくにも同じようにあるものです。

しかし、目が刺激され涙が出てくるのはたまねぎだけですよね。

実はこの違いは、たまねぎではLFSによる酵素反応が行われており、ネギやニラ、にんにくでは行われていないからなんだそう。

“スマイルボール”は1段階目であるアリイナーゼの酵素反応を抑えることで、まずは刺激臭を抑制。そしてそうすることで2段階目のLFSの反応も自動的に抑えられ、催涙性の低いたまねぎ“スマイルボール”を生み出すことに成功したというわけなんです。

辛味を抑えても栄養素はばっちり

よく、「たまねぎの栄養は辛い部分にあり水に晒したら流れてしまう」と言われていますよね。「辛さを抑えているんだから“スマイルボール”には栄養が少ないのでは?」と思われがちですが、たまねぎに多く含まれているポリフェノールの一種、ケセルチンの量は普通のたまねぎと同等の量が含まれているそうです。

“スマイルボール”が今後市場を拡大していくと、たまねぎを使った新しいメニューもたくさん生まれていくのではないでしょうか。

「たまねぎは辛いから水に晒さないと食べられない……」なんて言っていたのは昔の話だとされる未来がもうそこまでやって来ているのかもしれません。

参考:
『涙の出ない,辛みのない全く新しいタマネギ』の作出に成功
「スマイルボール」10月末から数量限定・チャネル限定で発売
ハウス食品、「切っても涙が出ない」タマネギ発売
タマネギを切ると涙が出る理由

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山路つかさ
食べることと味覚についてのアレコレに興味がある呑兵衛ライター。ワインの勉強中。
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