インタビュー

カクテルに新しい風を吹き込む「ミクソロジー」とは?【後編】

年々広がりをみせる「ミクソロジーカクテル」

より美味しいカクテルを求めて、これまでの常識にとらわれず新しい素材や技術を使って革新的なカクテルを生み出す「ミクソロジー」が、ここ数年で盛り上がりはじめています。日本も例外ではなく、ミクソロジーカクテルが楽しめるバーが少しずつ増えています。

都内でミクソロジーカクテルを研究する南雲主于三(以下、南雲)さんも、そんなミクソロジストの一人。

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◎南雲主于三さん。スピリッツ&シェアリング株式会社代表取締役。ミクソロジストとして数々の年間200種類以上のカクテルを開発し、都内でバー「CODE NAME MIXOLOGY」を運営しながらミクソロジー界をリードしている。

南雲さんには、前編でミクソロジー発祥の歴史やここ数年のカクテル文化について教えていただきました。こちらの後編では、南雲さんご自身の活躍に迫ってみたいと思います!

200種類以上のミクソロジーカクテルが楽しめる

◎南雲さんは現在、都内で3店舗のミクソロジーカクテルのバーを運営されているんですよね?

南雲「はい。1号店「The Bar codename MIXOLOGY tokyo」は2009年から東京の八重洲にあります。こちらでは、ソルティドッグやモスコミュールなど、クラシカルなカクテルをウチなりにアレンジしたものを提供しています。この店舗(2F)の上の階(3F)には「MIXOLOGY Laboratory」があるのですが、こちらでは開発した最新のカクテルを提供しています。もう一店舗は赤坂に「The Bar codename MIXOLOGY akasaka」があり、こちらは過去に開発された中のベストコレクションが飲めるようになっています。」

◎それぞれコンセプトが違うんですね!まったく看板出てなくて、来るのに迷いました。笑

南雲「出してないですね。あまり店内も広くもないので、好きな人が好きな人を連れてきて、知る人ぞ知るお店として親しんでいただきたいと思っています。お店にとって幸せなのは、ウチのお酒や雰囲気を好きな人に長く愛され続けることですからね。」

◎新しいカクテルの開発はどうやっているんですか?

南雲「まずは素材を作ります。たとえば、ブルーチーズの香りのするウォッカを作ったことがあります。カクテルに生のブルーチーズを入れることはできますが、カクテルが濁ってしまいますよね。クリーミー系のカクテルであれば良いのですが、透明なカクテルを作ることはできません。そこで、減圧蒸留器なんかを使ってブルーチーズの香りだけを抽出して、ウォッカに漬け込みます。このブルーチーズの香りのするウォッカがあれば、透明なのにブルーチーズの香りがするという面白いカクテルが作れるんです。」

◎それは意外性があって面白いですね!

南雲「ほかにも、最近は入社1年目の子が作った、焼き芋の香りがする赤ワインが好評でした。そうやって素材を作ってから、次にこの素材を使ってどんなカクテルを作るかを考えるんです。」

◎年間どれぐらい開発されているんですか?

南雲「一番開発をしまくっていた2012年から2014年にかけては、年間200種類ほど開発しましたね。最近は、素材作りは私が中心に行って、素材を活かしたカクテル作りを他のメンバーに任せていることが多いです。」

口の中でイメージすると味がする

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◎新しい素材やカクテルのアイデアはどこから出てくるんですか?

南雲「普段から食事をするときに、味をしっかり覚えて想像する力をつけるように意識しています。目を閉じながら食べて味覚に集中すると、味が一つ一つ頭のなかでわかってきます。素材そのものも食べるし、調理されたものも食べる。そうして味の記憶のストックを作っておくんです。」

◎いつも「コレとコレ合いそうだなー」と考えながら食べているんですか!?

南雲「さすがに毎回では疲れてしまいますし、人と一緒に食べるときにずっと目を閉じてたら引かれてしまうのでいつもではありません(笑)ただ、ものすごく美味しいものに出会った時には特に、「どうしてこんなに美味しいのだろう?」と思ったり「コレと合いそうだなー!」と思って、口の中で想像して合わせてみたりします。たとえばお肉を食べている時に、トリュフの味をイメージすると、トリュフの味がしてきます。」

◎イメージするだけで口の中で味わえるんですか!

南雲「そうです。わさびを少しだけ入れると合うなーとか、イメージなので濃くも薄くもできますよ。」

◎さすがは、強靭な味覚をお持ちなんですね!

南雲「普段目をつぶってものを食べる習慣を作るだけで、味覚はだいぶ鋭くなっていくと思います。ワインのテイスティングをする人は、通常の人の3〜5倍ぐらい鼻が良いじゃないですか。あれもテクニックです。訓練すればできるようになりますよ。」

◎元々美食の家庭で育ったというわけでもないんですか?

南雲「僕は生まれが岡山で、味盲な街とも言われるくらい、食が発展しているわけではない土地です。幼少期も、めぼしいレストランは全然ありませんでした。でも自宅では、子供の頃からそれなりに良い素材の食べ物は食べていたようには思いますね。あと生まれつき鼻が良いほうだとは思っています。」

◎これまででお気に入りの意外な組み合わせはありますか?

南雲「だしとパイナップルとカカオ、味噌とクリームチーズ、とうもろこしと醤油とキャラメル、などですね。カクテルに合わせるには意外に思われるかもしれませんが、日本の調味料は結構アレンジできるんですよ。」

将来は蒸溜所を作りたい

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◎そもそもミクソロジーに目覚めたきっかけはなんですか?

南雲「僕は元々お酒は好きじゃなかったんですよね。浪人時代に予備校の近くでたまたまダイニングバーでアルバイトの募集があったのに応募して、偶然そこでお酒に少し興味を持ちました。そのあと、大学に行くために上京してからアルバイトを考えた時にその時の経験が蘇って、お酒の仕事をしてみたいと思いました。実際やってみたら、とても面白くて。毎日洋酒辞典を読み、シェイカーを振っていましたね。」

◎学生時代から今に繋がる素地が出来上がっていったのですね。

南雲「入店当初はお酒を作らさせてもらえなかったので、文字通り毎日365日お米を入れてシェイカーを振ってましたね。家がお米まみれになっていました(笑)。おかげでお酒を作らせてもらえるようになった時「良い振り方するな、お前作ってないのに(笑)」と褒められましたのは嬉しかったです。」

◎今後はどのように活躍していきたいとお考えですか?

南雲「今年はもう一店舗、まったく違うコンセプトのお店を作りたいと考えています。それと、数年以内にお酒の蒸溜所を作りたいですね。何をやるかと同じぐらい、いつやるかってとても重要なので、思いついたことはスピーディーに実行していきたいですね。」

◎南雲さん、貴重なお話ありがとうございました!!

店舗情報

The Bar codename MIXOLOGY tokyo
東京都中央区八重洲1-6-1第三パークビル2F
[月~木・土]18:00~26:00
[金]18:00~翌4:00
日曜・祝日定休日

The Bar codename MIXOLOGY akasaka
東京都港区赤坂3-14-3 渡林赤坂ビル 2F
[月~金]18:00~29:00
[土]18:00~26:00
日曜・祝日定休日

MIXOLOGY Laboratory
東京都中央区八重洲1-6-1 八重洲第三パークビル 3F
[月〜土]18:00~翌1:00
日曜・祝日定休日