【管理栄養士:圓尾和紀さんインタビュー】〜日本人にとって和食とは編〜

【管理栄養士:圓尾和紀さんインタビュー】〜日本人にとって和食とは編〜

圓尾和紀さんインタビュー後編

都会の街並みに颯爽と現れた浮世離れ系着物男子、圓尾和紀さん。その正体は武士…ではなく管理栄養士 兼 分子整合医学美容食育協会 ファスティングマイスターエキスパート 麻布支部支部長として、和食とファスティングを推奨する食のスペシャリストだった…!

前編は圓尾さんの生活やファスティングについてうかがった今回のインタビュー。後編は和食について詳しく聞いてみました。

img_0901

もしも日本人が和食しか食べなくなったら健康でいられるの?

──米飯に変えると、脂質への嗜好性を抑えるというのは本当ですか?

それは本で読みました。動物実験だったかと思いますが、お米の中に含まれるγ-オリザノールを与えると脂質の嗜好性が減ったっていう文献です。

──確かに、体感として和食中心の生活だと”こってり系のものはもうイラネ”ってなることがある気がします。

そうそう。しかもそれが文献で示されると、余計に理系としては響きますよね(笑)。

──もしも日本人が「和食」だけしか食べなくなったら、健康的な悪影響はあると思いますか?

正確に言うと、僕は和食を推奨しているというより、日本の伝統食の良さを見つめ直すことを訴えています。というのも、和食って曖昧じゃないですか。じゃあトンカツや牛丼は和食なのか?とか。肉じゃがとかも、江戸時代は牛肉食べてなかったのでなかったはず。

ただ、昔の食生活を現代に完全再現するとなると、ちょっと栄養足りないんじゃないかな。衛生環境の影響とかもあると思うんですが、あの頃って平均寿命も今より短いですし、完全に戻せばいいとは思わない。

──(江戸時代のこと「あの頃」って言ってる…やはり江戸時代の人?)
※元ネタについては前編の冒頭をご参照ください。

今の生活で”和食にする”って言っても、完全にはできないはずなんです。外食に行くし、付き合いで食べることもあるし。逆にそこで摂れる分、意識的には完全に戻すぐらいの勢いで全然問題ないと思ってます。

──圓尾さんの食生活での和食の割合はどのくらいですか?

僕は普段の食生活9割ぐらいは和食。油とかもあんまり家では使わないですね。料理で使うときもあるんですけど、全然減らないです。炒め物とかもしなくて、基本は味噌汁に煮物とか和え物。

外食では和食以外も食べますけど、やっぱりそこで摂れてるからいいやっていう感じです。ずっとこれでやってきてますし悪影響もないなと。

むしろ今、欧米化してることの方が大問題ではないでしょうか。

急激な食の変化は実は大きな問題

──やっぱり食の欧米化は問題なんでしょうか。

今の食生活はガラッと変わりすぎだと思います。まず、肉卵乳製品油の摂取量が全部急激に上がっていて、逆にお米の消費量が半分になっている。

最近の東北大学の研究で、再現した1975年の食事と今の一般的な食事を食べたら”1975年の食事の方が痩せた””血液データにもいい影響があった”という論文が出たんです。1975年から今、更に言えば今と10年前とはそんなに変わってないと思うので、30年ぐらいでの変化。急激に変わりすぎだなと。

──確かに体の資本となる”食”の変化は体に負荷がかかりそう。

人間にとってもそうですけど、環境的にも負担。日本の食料自給率が低いのも、洋食が増えた影響があると思うんです。小麦をはじめとした洋食に必要なものを国内でまかないきれないので、外から取り入れる。石油燃料も使いますから、環境にも負荷がかかりますよね。

──国内の農業従事者にとっても厳しい状況になってしまっていますよね。疾病の増加に関しても同様でしょうか。

ひとつはそれ(食の欧米化)があると思いますね。もちろん運動不足やストレスなどいろんな要因があるとは思いますが、食の影響っていうのもやっぱり大きいかと。

沖縄なんかほんと顕著で、ちょっと前まで長寿ナンバーワンでしたけど今は…。肥満率日本一ですし、平均寿命も女性はまだ長いですけど、男性はもう下から数えた方が早いくらいになってます。

──深刻ですね。

実際に8月に沖縄に行って、座談会にも参加させてもらったんですが、現地の方…とくに高齢層の方は食の欧米化に本当に危機感を感じていて、それをなんとかしようっていう団体も立ち上がっています。

沖縄は基地ができた影響で一気に欧米化して、日本の中でも一番急激に変わったと言われる地域なんです。現地の80代〜90代の方はすごく元気で、なぜかというとその方たちが若い頃の食生活はまだ変化してなかったから。

──80代〜90代の方より、若い方のほうが深刻ですか?

そう、40代〜50代の方は子どもの頃から欧米化した食事をしてきているので、ちょうど働き盛りに倒れることが多いと聞きました。栄養士さんも”若くして透析まで行ってしまう方が多い”と言っていて。

元気な世代(80代〜90代の方々)を中心として、変わってしまった食を正すために沖縄の伝統食を復活させる動きが活発化しています。

和食を推奨する理由とは

──青森の方では逆に”健康に関して危機感をあまり持たず他者にも寛容”というデータが出てましたね。

そうですね。あと、長野は短命県だったんですけど、取り組みをしっかりしたので今長寿ナンバーワンになってますよね。もともと塩分の摂取量が多いなど食生活はあまり良くなかったんですが、それを改善して実際に成果が出ているのが長野県。

──そういえば、それも聞いてみたかったんです。栄養指導で行動変容してもらうのって大変だと思うのですが、和食を伝える難しさを実感しますか?

和食ってたしかに健康的ですけど、例えばメタボ予防するため、病気にならないためといった健康のためだけでは終わらせたくないんです。僕は、例えば和食にはこんな歴史がある、季節に応じて変わる…といった、栄養だけではなく”食べる楽しみ”までお伝えしています。

和食って一個一個にストーリーがあるので、頭でも楽しめるんです。お米もそうですし、昆布にしろ鰹節にしろ料理にしろ、昔はこんなことがあって、こういう歴史があって…そういうの知ると楽しいと思うんですよね。

──それは楽しい!

あとは作ってる人とか、どうやって作られてるかとか…そういうところまで浮かぶと、味わい方も深まりませんか?

人って結構、面白かったりワクワクする要素がないと動かなかったりします。なので栄養だけでなく、多面的な伝え方をしていきたいなって。知れば知るほど食べるときの楽しさが違ってきますし、ただ健康のため、栄養補給のための食事ではなくなると思うんです。

csk_omisoshirutokidokimesi_tp_v
──今日は貴重な話をありがとうございました。圓尾さんはひょっとして江戸時代の方じゃないですか?江戸時代のことを「あの頃」って言ってましたし、怪しい…。

服装からすると江戸時代ですよね、きっと。それ以前はこのスタイルだと違うかな。でも、服装だけでなく食生活的にもやっぱりあの頃がいいなって思います。あの時代に1日戻ってみたいな、みたいなのはありますね。

絶対叶わない夢ですけど、タイムスリップしてみたいです。まず、景色が違うと思うんですよ。2階建て以上ないですし。

──う〜ん、京都の町家がたくさんあるところみたいなんでしょうね。

ですね。空も綺麗ですし、空気も澄んでるし、自動車の音もないですし…(以下夢見心地のため省略)

 

暇さえあれば、和のイベントや器の買い物にも参加するという圓尾さん。一見すると穏やかに感じられましたが、食に関しては熱い思いを持っています。

和食にこだわるその精神は、まるで江戸時代からタイムスリップしてきた武士が現代で生き抜く知恵を蓄積し、うまく融合していこうとしているようにも見えたり見えなかったり。今後の活躍に注目です!

圓尾和紀さんのブログ

カラダヨロコブログ
Facebookページ

参考:
エドワード・ハウエル博士『酵素栄養学』-食べない生き方
1975年型日本食の献立例

インタビューカテゴリの最新記事