■アメリカのポッキーは日本より甘い?
日本の食べ物が世界に渡っていく時、多くの場合現地の舌に合わせたアレンジがなされます。
お寿司が海外では「フルーツ寿司」「ソーセージ寿司」などにアレンジされているのもその一例ですね。
では、同じ日本から渡ったものでも、こういうタイプのものはどうでしょうか。
みんな大好き日本の大発明、いちごポッキーです。
実は、いちごポッキーにはアメリカバージョンもあるのです。
アメリカといえばお菓子があま〜いイメージがありますが、こうした「日本のお菓子」も、アメリカに渡ればあま〜くアレンジされているのでしょうか。
その謎を解くべく、食べ物の味を数値で表せる味覚センサー「レオ」を使って調べてみたところ、意外な面白い事実が見えてまいりました!
■分析の手順
味覚センサー「レオ」は人の舌を模したセンサーで、基本5味である甘味・旨味・塩味・酸味・苦味の強さを分析し、数値で表す事が出来ます。
ポッキーを砕いて専用の溶液に溶かし、
分析用の容器に分注して、
味覚センサー「レオ」にセット(アメリカのいちごポッキーは右側のものです)
あとは分析を待つだけ!!
果たして、アメリカのポッキーは日本より甘いのでしょうか…!?
■アメリカのポッキーは甘いだけじゃなかった!
それでは早速、分析結果を見てみましょう。
今回は、味覚センサー「レオ」が算出した5つの味の数値を五角形にして表すことにします。
日本のいちごポッキーとアメリカのいちごポッキーの五角形はこんなふうになります。
(なお、日本のいちごポッキーも、つぶつぶのタイプではなく、ノーマルタイプのいちごポッキーを測定しています。)
このグラフをよく見ると、アメリカのものは予想通り、日本のものより甘味が強くアレンジされているようでした。
それに加えて面白いのは、日本のもののほうが酸味が強いという点です。
甘味と酸味をそれぞれ棒グラフに示すとこのようになります。
アメリカのいちごポッキーは、甘味が強いだけでなく、酸味が抑えられていました。
これは一体何故なのでしょうか。
ここで、日本とアメリカにおける「いちご」そのものについて考えてみたいと思います。
■「いちご」の食べ方の違いが反映?
日本のいちごは、糖度が高く甘味と酸味のバランスが良いですね。
練乳やシロップがけはもちろんですが、そのままでも十分美味しく頂けます。
一方、アメリカのいちごは、一般的に酸味が強くて甘さ控えめなもの多いそう。
このため、甘さの不足を補うために、アメリカではいちごに砂糖をかけて食べるのが主流なのです。
これが意味する事は…
「いちご味」を再現しようとする時、そもそもイメージする「いちごの味」が日本とアメリカで異なるということ!
日本人にとっては、甘味と酸味のコントラストが綺麗ないちごが「いちご味」であり、
アメリカ人にとっては、砂糖によって酸っぱさを解消して甘味を増やされたいちごが「いちご味」なのではないでしょうか。
細かな製造条件などは公開されていないため一概に比較はできませんが、もしかしたら、こうした「いちご味」のイメージの違いが、ポッキーの味の違いに反映されているのかもしれませんね。
こうして見てみると、「いちご」一つとっても国によって人々のイメージは違うことが分かります。
どちらのイメージも、その国の人にとっては正しいものですよね。
このため、「どちらが正しい味か」「どちらが本家か」という発想はナンセンスにさえ思えてきます。
「日本の味」をそのまま伝えるのも良いですが、こうしたイメージの違いを対等に受け入れて商品の味を微調整して輸出するのも、日本の食文化を浸透させる上で、大切な事ではないでしょうか♪
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