揚げ物やフライって本当に美味しいですよね。唐揚げ・トンカツ・天ぷら・エビフライ・フライドポテトなど・・・数えだしたらキリがありません。肉や魚も脂が含まれているからこそ、美味しいのです。(ちなみに、動物性は脂、植物性は油です )
揚げ物以外でもパンにオリーブオイルやバターを塗って美味しく食べることもできますし、オイルベースのパスタも美味しいですよね。
人はなぜこんなにアブラ(脂・油)が好きなのでしょうか。
アブラ(脂・油)と味覚の関係
アブラ(脂・油)単体では、美味しいとは思いません。脂味を第6の味と主張する研究もありますが、まだ決着していません。舌細胞での脂肪酸の検知に関わるだろうたんぱく質については過去記事に書きましたので、そちらを参照してください。油脂には他の味と組み合わさることで、味が変化して食べ物が美味しくなるということもあります。例えば、甘味や旨味は脂が含まれることでより感じやすくなります。逆に苦味は脂の影響で感じにくくなります。
また、たくさん油脂があれば良いというわけではなく、最適な比率でなければなりません。それを示すために、1つ実験をしてみましょう。
味覚センサーレオでアブラの美味しさを計測
本実験では、コンソメスープになたね油を1%,3%,5%それぞれ加えてサンプルとしました。これら3つのサンプルを味覚センサーレオにかけ、旨味を計測する実験を行いました。
味覚センサーレオの旨味の計測結果は下図の通りです
この結果からわかることは、なたね油が3%含まれると1%含まれる場合に比べて、旨味が上がりますが、5%になってしまうと逆に旨味を感じにくくなるという結果でした。つまり、1%から3%までで上がると美味しいと感じるのですが、5%まで加えてしまうと脂っこくて美味しくない状態になっていると言えます。「脂っこくて美味しくないなあ」という経験は皆さんもされてきたのではないかと思いますが、味覚センサーレオでもそれが観測されたと言えます。
人間がアブラ(脂・油)を欲する理由
では、なぜ適切なアブラ(脂・油)を人間は欲するのでしょうか?それは、身体に必要な栄養素だからです。いわゆる三大栄養素は「炭水化物・たんぱく質・脂質」ですが、味覚で言い換えると「甘味・旨味・脂味」となります。全てよく好まれる味ですね。(注意が必要なのは、三大栄養素だけではもちろん身体を維持することはできなくて、ビタミン・ミネラル・食物繊維なども重要です。)
身体に必要だからといって、三大栄養素を大量に摂れば当然肥満や病気の原因になります。「甘ったるい」「脂っこい」と感じる味覚は身体を正常に保つために必要な感覚なのです。現代社会の問題点は、味覚が衰えて糖分や塩分・脂などを摂取しすぎる人が多いことにあります。味覚を正常に保って身体を健康に保つ必要があります。詳細は下記の拙著「味覚力を鍛えれば病気にならない」をご覧ください!