旨味調味料で料理は美味しくなるのか
ジュージュー焼けたお肉、新鮮なお魚、TKG……料理に含まれている「旨味」は私たちを虜にする味覚。日々、料理の際には旨味のアップを念頭に置いている方も少なくないでしょう。
しかし旨味をアップするというのは、意外に手間がかかります。ステーキであれば焼き加減が大事ですし、キノコは冷凍が必要だったりと、食材や調理法によって異なるんですね。いちいち覚えてられません。
そんなときに手を出してしまうのが「旨味調味料」ではないでしょうか。添加するだけでお手軽に旨味をアップしてくれるこのアイテム。加えるだけで旨味アップ。楽チン……ですが、本当にこれで好まれる味になるのでしょうか?
そもそも旨味ってなんだっけ
食べ物は、甘味・旨味・塩味・酸味・苦味の5つから成り立っており、これを総称して「基本5味」といいます。この他、辛味や渋味、怪味、脂味など、ほかにも「XX味」と言われる味は、味覚として認められる条件を満たしていないため基本5味に入っていません。
味覚として認められる条件は「知覚を決定する「受容体」の存在、識別が容易である」「万人に受け入れられるものである」「何らかの心理的反応を促すものである」の3つ。これらを満たしていないと基本5味には入れてもらえないんですね。
味覚は、成分が味細胞を介して受容体に作用し味を感じます。旨味でいえばグルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムなど。これらの旨味成分を使って作られるのが旨味調味料です。
旨味調味料を加えると「美味しい」のか?
59名の女性を対象にした研究[※]で、20品目の料理に旨味調味料を添加して嗜好性が高まるかどうかの調査が行われました。結果は「8品目、旨味調味料0.5%の添加によって嗜好性が高まる」というもの。
もちろん料理の種類にもよりますが、20品目中8品目となると、あまり精度は高くないように感じます。
旨味調味料の添加が好まれたのはコンソメスープや鳥ごぼう飯、ゴーヤチャンプルーなど。茄子田楽、じゃが芋のほっくり煮、卵焼きなど甘味がある食べ物への添加は好まれませんでした。また、旨味調味料を添加することで、食塩含有量(ナトリウム量)も増加している料理があり、塩味が濃くなることで美味しく感じている可能性もあるようです。
この結果を見ると、「旨味」を増やしたいからといって何でもかんでも旨味調味料を加えればいいというものではないようですね。多少面倒であってもドーピングはせず、地道に旨味を上げていくのがいいのかもしれません。
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