和菓子で季節を感じよう!春夏秋冬それぞれの和菓子の特徴

和菓子は季節にこだわった食べ物


春になると桜餅などが出てきて、和菓子の存在が身近に感じられませんか?実は和菓子は季節に合わせて種類が変わる、非常に趣深いお菓子。春夏秋冬それぞれで見た目や食材に変化があります。春・夏・秋・冬ごとに代表的な和菓子とその意味をご紹介します。

春の和菓子


まずは春の和菓子から。春の和菓子といえば桜餅やよもぎ餅、かしわ餅など。どれも春の葉っぱを使ったお菓子です。特徴は強い香りと抗菌作用を持っていること。

桜の葉は塩漬けにすることでクマリンという物質が生成されます。これが世にいう「桜風味」のもと。このクマリンには抗菌・抗酸化作用があります。またよもぎの葉にはシネオール、かしわの葉にはオイゲノールという香りの成分がそれぞれ含まれており、これらもまた抗菌作用を持っています。春〜夏は気温が高くなることで食中毒が増えますから、防腐効果の高い和菓子はありがたいですね。

夏の和菓子


夏になると涼しげな風鈴の音を聞きたくなるように、和菓子の見た目にも「涼」が求められています。夏の和菓子といえば寒天や葛を使った透明感のあるもの。ところてんや水羊羹、葛まんじゅうなどがその例ですね。

これらは見た目だけでなく、水分も高いのが特徴。通年販売されているもなかやどら焼きといった和菓子に含まれる水分は約30%。夏の風物詩であるところてんは約99%、水羊羹は約57%、葛まんじゅうは約45%と水分が高めの構成になっています[※1]。夏の和菓子は水分補給の役割も果たしているんですね。

秋の和菓子


秋になると、かぼちゃの「きんつば」、サツマイモの「鬼まんじゅう」など食材の甘味をそのまま感じさせる和菓子が出てきます。旬の食材は、他のシーズンに取れたものより栄養価が高いと言われています。カボチャを例にとってみましょう。
実はカボチャは夏場に収穫する野菜。収穫後すぐではなく、2~3ヶ月ほど寝かせて秋頃になると甘味が増加するため、秋に流通量が多くなるのです。収穫3ヶ月後のかぼちゃの糖度は収穫直後の約2倍。栄養面で見るとβ-カロテンが収穫前後の約5倍にまで増加します[※2]。

サツマイモも糖質を多く含み、冬を乗り越える体力をつけるのに適した食材といえます。

冬の和菓子

冬の和菓子といえば、雪で作ったうさぎを形どったものなど、「雪」を表現した白いもの。雪餅などは「ザ・冬の和菓子」ですね。

雪餅に用いられるのは白い「ツクネイモ」。サトイモやサツマイモなど他のいも類に比べてたんぱく質が約3倍と多めなのが特徴です。すりおろすと粘り気の強いとろろになります。粘質物質はたんぱく質と多糖類のマンナンが結合した糖たんぱく質で、その粘性を利用して「じょうよまんじゅう」の材料としても使われます[※3]。
このツクネイモ、実はなかなかの高級食材。新春や結婚のお祝いなどに使われる紅白のじょうよまんじゅうは見た目はシンプルながらも慶事にふさわしい、贅沢な材料が使われていたんです。

現代では一年中いろいろな食べ物が手に入るので、食で季節を感じるのは珍しいこと。和菓子の種類で春・夏・秋・冬を感じてみてはいかがでしょうか。

参考:
※1 食品成分表2016」 香川芳子 女子栄養大学出版部
※2 ミニカボチャの貯蔵中におけるカロテノイド色素の変化
※3 栄養科学シリーズ 調理学」南出隆久・大谷貴美子 株式会社講談社

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