さくら味ってなんなの?
まだまだ寒い日が続くとはいえ、3月に入りました。春を意識する頃合いですね。でも、2月の上旬くらいからすでに「もうすぐ春だー!」みたいな気持ちになっていた気がしませんか?なぜなら、2月に入ると飲食物各社からさくら味のスイーツ、飲料、和菓子が出てくるから!
みんな大好きスタバさんでは「さくら ブロッサム&ストロベリーフラペチーノ」「ブロッサム&ストロベリーラテ」なるものが発売されています。さくらだけでなくストロベリーが入っているので、“さくら味”が苦手でも飲みやすい! でもちょっと待って。さくら味ってどんな味なのでしょうか!?
ヒントは桜もちにあった
「さくら味」の代表的なお菓子といえば、桜もち。もしかして、巷に溢れる“さくら味”は桜もち味なのでしょうか? だとしても、桜もちのどこが“さくら”っぽいのでしょうか。
桜もちで使われている“さくら”は、外側の葉っぱの部分。これは桜の葉を茹でて塩漬けしたものです。さくらの葉っぱには、「クマリン」という成分が多く含まれており、実はこの「クマリン」が桜もちの匂いなのです!でも、生の桜の葉を摘んで匂いを嗅いでも、そんなに“さくら”っぽい匂いはしませんよね…。
これは、塩漬けしているときに何かが起きているとみた!
クマリンは、生の葉の中で「クマリン酸配糖体」という糖と結合した状態で存在しており、液胞(植物の細胞構造のひとつ)内に隔離されているため匂いは発しません。生の桜の葉から匂いがしないのはそういうわけなんですね。
これを乾燥させ、塩漬けすることによって葉の中の細胞が壊れて、さらに水と一緒に分解(加水分解)させるとクマリン酸と糖の結合が解かれることではじめて、あのさくら独特の匂いが出てくるのです。
結論:世に溢れている「さくら味」は、さくらの葉を塩漬けして出てくる匂いだった!
名前は可愛い、健康には良いの?
ところで、インターネットで「クマリン」を調べて見ると「猛毒」だの何だのと不穏な単語がたくさん出てきます。
え、桜もちの葉っぱ部分食べちゃダメなの…?
いえ、そうではありません!
真相は、日本ではクマリンの食品添加物の使用が禁止されているということ。クマリンは血栓防止薬などの医薬品にも含まれており、それらのクマリン保有量は4mg/日程度です[※1]。
調整された医薬品や普通に食物から摂取している程度なら問題ないですが、食品添加物などで過剰摂取すると「肝臓に悪影響を及ぼす恐れがある」ということのようです。
市販の桜の葉に含まれるクマリン量はごくわずか。さくらの葉1枚50mgに対し0.03~0.1mgほどです(商品によって異なります[※2])。1日に40枚食べて、やっと血栓防止薬と同じぐらい。でも塩漬けでもそんなにたくさん葉っぱを食べますか? 普通はそんなに食べられないですよね。
つまり、桜もちの葉っぱも、桜の葉の塩漬けをもとにしたさくら味の食べ物も、極端な量を食べなければ問題はないということです!たくさん食べてしまうと、何より太ってしまいます。ぜひこれからの季節、さくら味を安心して楽しんでくださいね!
参考:
[※1]メリロートを含む「健康食品」-むくみやダイエット対策などをうたったハーブ利用食品を調べる-
[※2]福島県衛生研究所年報