咀嚼回数と肥満の関係
咀嚼回数(食べる早さ)と健康に関してはさまざまな研究がされていますが、そのひとつに肥満があります。幅広い年齢において咀嚼回数と肥満には強い関連が認められており[※1]、端的に言うと「よく噛む人ほど太らない」のです。
この咀嚼回数を意識する際、単純な回数の増加のほかによく言われるのが「歯ごたえのある食品を食べましょう」というもの。ですが「歯ごたえのある食品」と一概に言われてもなかなかピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
というわけで今回は679人の高校生男女を対象にした調査結果から、よく噛む人が食べている食品3種類をご紹介します。
よく噛む人が食べている食品は?
調査結果は自己記入式のアンケートによる咀嚼回数と食生活などの関連を調べたものです[※2]。咀嚼状況として「よく噛む」または「噛まない」、食品はごはん、パン、豆・大豆製品、魚介類、肉類、乳類、卵類、野菜類、根菜類、いも類、果実類、海藻類で分類されています。
1. 野菜類
男女の性差なく、噛まない人に比べてよく噛む人が毎日摂取していたのが野菜です。調理方法によって異なりますが野菜は肉に比べ「お口のなかでトロける…!」といったことが少なく、噛まざるを得ませんよね。また生の葉物野菜は噛むたびにシャキシャキといった食感が味わえ、噛むことが楽しくなります。
「食ったぞ!!!」という実感は乏しいかもしれませんが、咀嚼は脳中のヒスタミン濃度を高め、満腹中枢の刺激を介して食欲を抑制してくれますので、おなかいっぱいにはなることでしょう。
2. 根菜類
女性のみですが、よく噛む人は根菜類を毎日摂取しているという結果が出ています。根菜といえば大根や人参、レンコン、ごぼうなど。ちょっと固めでよく噛まないと飲み込むのが苦しい食品で、こちらも噛まざるを得ないといえるでしょう。
根菜類を意識的に摂取していくことで、半ば強制的な咀嚼回数の上昇を誘発することができるかもしれません。
3. 果実類
こちらも女性のみの結果ですが、果実類もよく噛む人が毎日食べていた食品でした。種類はわかりませんが、考えてみればカットしたりんごや梨などは噛まないで飲み込むのがちょっと辛いですし、みかんやオレンジであれば筋がありますので噛み切らないと喉にひっかかる可能性もあります。何より噛むごとに出てくる果汁の甘味や酸味を楽しむのも果実を食べる醍醐味ですよね。
よく噛むようにすることで肥満解消につながるかについてはさらなる研究が必要とされています。しかし「一口30回咀嚼」を導入することで体重・BMI値が減少したり、お腹が凹むといった良い効果が期待できるという結果の報告もあり[※1]、噛むことで痩せる効果も期待はできそうです。
咀嚼にはほかにも基礎代謝のアップ、脳の活性化、リラックス効果などさまざまな健康効果があると言われています。忙しいからと早食いばかりになってしまっている方は、この機会にゆっくり食べる時間を設けてみてはいかがでしょうか。
参考:
※1 「ゆっくりとよく噛んで食べること」は肥満予防につながるか?
※2 高校生の咀嚼力と肥満・食習慣との関連
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