近年、「肥満」との仁義なき戦いを繰り広げてきた英国。砂糖税導入からレジ周辺のスナックやお菓子追放など、肥満防止のために行ってきた政策は矢継ぎ早でした。
そして闘争の果てに英国政府は、法によって外食産業のカロリー制限をする可能性まで示唆し始めたのです。
英国公衆衛生庁(Public Health England)は、2024年からピザやエスニック料理などの品目において、一食分のカロリー制限を行うと発表しました。
直撃を受ける外食産業
この法律が施行されると、レストランや調理済みの食材を生産販売する業者は大きな痛手を受けることになるのでは、と早くも英国では賛否両論が巻き起こっています。
英国政府の意図は、現在のレストランや調理済みの料理のカロリーを20%削減することにあるのだそうです。
実際に法律が施行された場合には、カロリーの制限を超えていないか証明する必要まであるのだそうです。
具体的には、英国政府は生産者や販売者に5年間の猶予を与え、ガイドラインに沿って適応していくよう指導するのだとか。かなり厳しいです……。
具体的な数字がこちら
これまでもかなり過激な策を敢行してきた英国政府、今回の政策も机上の空論ではありません。具体的な数字まで上がっています。
サンドイッチ類のカロリーは最大550kcal、レストランのピザは1040kcal、ボローバンと呼ばれるパイは134kcalまでが許容範囲です。
品目的にはヘルシーに分類されそうな数字ですね。このピザのカロリーだと、お肉やサラミ、ウインナー等をたっぷり使うのは厳しいでしょう。エクストラチーズトッピングは無理なんじゃないでしょうか。
また、レストランやパブの食事よりも、スーパーなどで販売されている調理済みの料理に対して規制がより厳しくなっているという特徴があります。
当然、批判される
この政策に対して、各新聞は「あまりに権威主義的」と批判しています。また、「現実的に考えてカロリーの適切な統制はほぼ不可能ではないか」という専門家の意見も多いようです。
消費者が一食分で満足できず、二食分を購入することまでは、政府は阻止できません。結果としてカロリー制限にはならず、ただ消費者の財布を直撃して終わることになる……と英国のメディアは皮肉っています。
英国政府も、肥満とそれに関連する疾病への危機感に触発されての制作発表だったのでしょう。しかし、いささか猪突猛進だった(猪年だけに)というのが一般的な世論のようです。
参考:
PHE plans for 1,040-calorie limit on pizzas revealedh
Allarme bambini obesi. Così la Gran Bretagna “restringe” pizze e torte