処女牛 VS 熟女牛!おいしい牛肉はどっち?

牛の世界における、メスのニーズは客観視できる?

日本人男性の女性の好みは一般的に、今も昔も若くて綺麗な女の子のイメージ…しかし、同じくピチピチした女の子がもてはやされる動物の世界がありました。それは…

雌牛の中で、出産を経験した牛のことを経産牛出産をしていない牛のことを未経産牛といいますが、どうやら牛の世界でも「未経産牛(処女牛)のほうがおいしい」というのが通説だそう!

しかし本当にそうなのか?真実を公平な目線で判断すべく、今回は味覚センサーレオで経産牛と未経産牛を検証することにしました。

そもそも、雄牛より雌牛の方が美味しいらしい!?

とその前に、「なんで雌牛?雄牛は?」と思ったそこのあなた!説明いたしましょう。

牛肉の美味しさを決める重要な要素は、肉の柔らかさ(食感)、脂の味・香りに加えて見た目の美しさ。

一般的に雄牛は筋肉質なのに対して、雌牛の肉質はキメが細かく、まるで「絹のようだ」とも言われることもあるほどです。また雌牛の方には不飽和脂肪酸が多く含まれており、融点が低いため口の中でとろけるような食感になりやすいのです。不飽和脂肪酸はヒトの体内では生産することができない健康に必要な必須脂肪酸なので、雌牛の方が質の良い脂肪を持っているともいえます。

市場に出回っていて高級とされている黒毛和牛(黒毛和種)と呼ばれるものは、未経産牛(処女牛)がほとんど。というのも経産牛をおいしくするには出産後、一定以上の飼育が必要。飼料代がかかるため育てられることは少ないそうです。

未経産牛と経産牛どちらがおいしい?〜生状態での見た目編〜

「未経産牛と経産牛、おいしいのはどちらか」を検証するにあたり、経産牛も納得のいく味になるまで肥育しているという島根県出雲市の「かつべ種畜牧場」にご協力いただき、未経産牛と経産牛の肩ロースを取り寄せました。(※経産牛は出荷数が少ないため、今回は特別にご提供いただいています)

左が未経産牛、右が経産牛。
↑ 経産牛
↑ 未経産牛

よく見ると、経産牛は全体的にやや褐色で肉質も柔らかく、未経産牛は赤身の部分は鮮明な赤でサシの部分も綺麗なピンク色です。

未経産牛と経産牛どちらがおいしい?〜味覚センサーレオで検証編〜

さてさて、これらを味付けせずにシンプルにソテーして味覚センサーレオを使って検証してみました。

結果がこちら。

一見あまり変わらないように見えますが、未経産牛に比べて経産牛の方が甘味、旨味、塩味が高く、それらを結ぶ上部の面積が大きくなっているように見えます。また酸味と苦味はほぼ変わらない数値です。

実際に甘味、旨味のほか、コクにも注目して見てみると…いずれも経産牛の方が優位な結果になりました(下図参照)。

これらの結果からみると未経産牛より経産牛の方が甘味、塩味、旨味、コクの項目で優位であり、より美味しいといえます。

この勝負、経産牛(熟女牛)の勝ちです!!!

なぜ経産牛のほうが美味しいの?

経産牛の方が美味しいという今回の結果。この理由は生産者のかつべ牧場様いわく、「牧場の環境によるものではないか」とのこと。

かつべ牧場では出雲の豊かな気候風土で子牛から一貫して生産・肥育管理を行っているそう。ことに、経産牛に関してはコストの関係で出産後、半年ほどしか肥育しない牧場が多いなか、1年以上を目標に育てているのだそうです。したがって、生きたまま肉の熟成が進んだのではないかとのことでした。

牛肉の市場の中で、経産牛は「未経産牛に比べて味も生産効率も劣る」と言われてきましたが、牛にとってストレスのない環境で美味しいものを食べて育てれば、経産牛でも、むしろ経産牛の方が高品質な食肉となる可能性を十分秘めているということですね。

個体差や部位によって数値は異なるので一概には言えませんが、常識を覆す結果に驚きを隠せません…!なかなか出回ることのない経産牛ですが、みなさんも見つけたらぜひ味わってみてください!

㈲かつべ種畜牧場

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