この組み合わせはありえるのか否か。
グルメ漫画を読んでいて時折目にする「意外な組み合わせ」。そのほとんどが実際に食べてみるとなぜかマッチしており、「これ、おいしい…!」となることも多いでしょう。しかし、なかには「これって本当においしいの?」と疑ってしまうものもあります。
目に付いたのは「フードファイタータベル」。「ピュー!と吹くジャガー」「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!マサルさん」といったギャグ漫画でおなじみ、うすた京介先生の最新作です。
これをグルメ漫画と呼んでいいのか…そのあたりは専門家でも見解が分かれる部分だと思いますが、今回はグルメ漫画で押し通すことにしたいと思います。異論は受け付けません。
さて、意外な組み合わせが出てくるシーンはこちらです。
主人公である原田美味道(うまみち)が父親の経営する定食屋ルーズソックスに帰ると、そこには友人(?)であるフードファイター、神無食流(かんなしたべる)の姿が。
普段は食べる専門のくせに、今日に限ってはなぜか厨房に立つフードファイターのたべる。彼はいったい何をしているのか…!?
ちなみにカウンターに座っているのがうまみちの父親で店主の腹田玄成(げんなり)です。
大人になったからといって遊び心を忘れてはいけませんね。だからといって自分の店の厨房を他人に貸すというのはかなり大胆なこと。父親として、人間としての器の広さを…感じません。
料理人ごっこをしたいと言い出したフードファイターたべるが出してきたのがこちら。
かにみそヨーグルト。
「なに作っちゃってんの!?」…いやはやそのとおりです。何作ってんでしょうか。いっそのこと混ぜてみたって。
かにみその濃厚な味や磯っぽさと、ヨーグルトの酸っぱさが合わさって、それはもう想像しただけでエグい一品です。
しかし。
え!?うまいの!?
しかも染み入るほどのうまさ…だと…!?
人はおいしいものを食べたとき、意外とグルメレポーターのように「お口のなかでとろける!」なんて言えずに「うまい…」の一言で終わってしまいますよね。それを聞くと周囲も「ああ、本当においしいんだろうな」なんて思うのです。
まさにそれです。
だからといって、ねえ。ネタですよね?ギャグですよね?これは。かにみそヨーグルトが本当にうまいわけないでしょう。かにみそとヨーグルトですよ。
しかしこれ以降、次々と衝撃的な料理が出てくるのです。
秋刀魚のバラ包みさとう水まみれ。
魚と鳥の骨のコッペパン(ジャム&マーガリン)茶漬け。
そしてツッコミ要員である主人公の感想は…
(引用:うすた京介「フードファイタータベル」第11話)
うまいわけないでしょ!!!!!
しかしここらで読者の感覚も麻痺してくるのです。
たしかに「秋刀魚のバラ包みさとう水まみれ」や「魚と鳥の骨のコッペパン(ジャム&マーガリン)茶漬け」はやりすぎでしょ。絶対おいしくない。おいしかったとしてもあんまり食べたくない。
でも、最初のかにみそヨーグルトは…唯一食べられそうだし…合うのではないか?と。
実際、かにみそとヨーグルトの相性はどうなのでしょう。気になって夜しか眠れません。どうしたらこの疑問を解決できるのか悩んだ挙句、1つの答えにたどり着きました。
そうだ!我々には味覚センサーレオくんがいる…!レオくんに毒味味見してもらえばいいんだ!
味覚センサーレオくんに食べさせてみた。
人工知能に毒味させるだなんて、果たして人工知能に対する正しい接しかたができているのでしょうか。人間としてよくわからなくなってきました。でも人類の食の発展のため(?)に味覚センサーレオくんに犠牲になっていただきたいと思います。ごめんね、レオくん…!
まずは単体で比較してみましょう。
かにみそはほぼ旨味と苦味。ヨーグルトは酸味に特化しています。
その相性度は…
なんと95.0!!!!!!
白身魚+白ワイン級の相性度を叩き出しています。
相性が良い食べ合わせは、「異なる味覚を持つ同士である」ことと「その異なる味覚が近しい数値である」ことで実現します。今回は旨味と苦味、そして酸味のバランスがちょうどよく合わさったことで、ここまでの相性度が出たと言えるのです。
全然合わなそうなかにみそとヨーグルトは、合わせると意外に味のバランスが良かった!!!!
ヨーグルトは甘い味付けで食べられがちですが、かにみそと合わせることでちょっとした軽食にもなり得るのでしょう。定食屋のメニューで「かにみそヨーグルト」が定番化する日も近いのかもしれません…みなさんもぜひ試してみてください!
※本記事はマンガHONZさんと共同企画させていただいております。