キムワイプへの歪んだ愛情
生物や化学の実験をしたことがある人はよくご存知の通り、科学の研究室では、全国どの研究室を覗いても、決まってある特別なティッシュが使われています。
その名は「キムワイプ」!
キムワイプは普通のティッシュのように毛羽立つことはなく、液体の吸い取りにも優れているため、ミクロな物質を扱う実験で重宝されています。そんなキムワイプは理系としてのアイデンティティの一部にもなり、理系研究者や学生たちに寵愛されているのですが、あまりにキムワイプ愛が肥大化したせいか、こんな噂まで流れているようです。
「キムワイプおいしい」
キムワイプおいしい党によるプロパガンダは激しく、TwitterをはじめとするSNSでは、時折このような狂気を孕んだ画像がタイムライン上に登場します(*1)。
確かに、可愛い猫を見ると「食べちゃいたい」と思うような、「愛しすぎて食べてしまいたくなる心理」が存在することはアメリカのイェール大学の研究者によって示されているようです(*2)。
だからといって・・・君たちは・・・セルロースを食べるのか!?!?絶対消化できないぞ、コレ!!
というわけで今日は、「キムワイプおいしい」はネタなのか、マジなのか、調べてみたいと思います。
我々はティッシュを甘く感じる
あなたは、食べ物と食べ物じゃないものの区別がつかないくらい幼かった時にティッシュを口に入れてしまったことはありませんか。
そして、「まあ!そんなもの食べちゃダメよ!」とママンに叱られつつも、心の内で「怒られちゃった…でも、ちょっとおいしかった…//」などと背徳を感じたことはありませんか。
ティッシュ、特に手触りがよくて保湿力に優れているタイプのティッシュには「グリセロール」という物質が含まれています。実は、このグリセロールが舌に触れると、舌の上にある「甘味受容体」という部分が反応し、私たちは甘いと感じるようになっているのです。
すなわち、ティッシュは甘く感じうるものなのです。
この論理からすると、ティッシュの亜種であるキムワイプも同様に、「甘いからおいしい」という可能性が浮上してきます。
そこで、味博士は思い切ってキムワイプを食べてみました。
(※基本的には食べ物ではありませんので、お試しになるときは舐める程度に留めておきましょう。)
「キムワイプおいs・・・!?!?」(放送事故)
味覚センサーでキムワイプvs鼻セレブ
味博士は、あまりに強烈なキムワイプ体験がトラウマと化したのか、感想を求めてはいけないオーラに包まれてしまいました。
そこで、味博士のペット的存在である味覚センサー「レオ」にキムワイプを食べた感想を代弁してもらうことにしました。味覚センサー「レオ」は、食べ物の味覚を1〜5段階で数値化できるセンサーで、今回問題にしている「甘味」の数値も客観的に出してくれます。
比較対象として、無味を代表として普通の水、そして保湿ティッシュ界の代表格である「鼻セレブ」の味覚も調べてみました。
果たして、キムワイプに甘味はあるのか…!?
結論:鼻セレブの方がおいしかった
それでは、お待ちかねの味覚分析の結果です。今回は甘味の勝負なので、甘味の違いを棒グラフにして示してみました。
普通の水が1.07なのに対し、キムワイプは1.42、鼻セレブは1.78という結果になり、キムワイプにも鼻セレブにも甘味が含まれていることがわかりました。キムワイプがおいしい可能性があることが客観的な数値で示された決定的瞬間です。ついに、キムワイプおいしい党の誇大なキムワイプ愛による錯覚ではないことが証明されてしまいました。
しかし。
残念ながら、一番甘いのは鼻セレブでした。
この結果から推測されることは・・・
「キムワイプより鼻セレブのほうがおいしい」
ということです。
キムワイプも少しは甘味が含まれているため「キムワイプおいしい」を否定しきることはできないものの、なんともキムワイプおいしい党の方々に全力でバッシングされそうな結果が出てしまいました。さらに、この先味覚センサー「レオ」がある研究室に所属するメンバーは、「レオ支持派」と「依然としてキムワイプおいしい派」に分裂する羽目になるという、新たな戦いの火種を作ってしまいました。
レオくんもかなり責任を感じているようです。
さて。ここまでお読みいただいた優しいあなたには、ぜひ以下の問いと真摯に向き合いながら生きていって欲しいと思います。
あなたは、キムワイプ派?それとも鼻セレブ派?
そろそろ炎上しそうなので、ここいらで失礼します。なお、この結果に共感ができる方が、「キムワイプより鼻セレブのほうがおいしい」のコラ画像を作ってくださるのをしっぽを振ってお待ちしております。
※念のためもう一度。この記事はティッシュ食を推奨していません。
*1 こちらの画像は、キムワイプbot(@KimWipe_bot1)様が作成・公開したものです。キムワイプネタを中心に理系のラボに属する方であれば面白いこと間違いなしなネタを公開されている手動botです。ぜひあなたもフォローを!
*2 「愛しすぎて食べてしまいたくなる心理」の元ネタの研究はこちらです。