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キッチンにはピカチュウが必要?肉を美味しく食べたければ「通電」すべし!

キッチンにはピカチュウが必要?肉を美味しく食べたければ「通電」すべし!

美味しいお肉を求めて三千里

狩猟採集時代から現代に至るまで、人類につかの間の幸福をもたらしてきた普遍的な存在とはなんでしょうか。そう、お肉です。美味しいお肉にかける情熱はホモ・サピエンスのDNAに深く刻まれています。ある時は焼く前に切れ目を入れ、ある時は肉専用ハンマーを発明してお肉をボコるといった具合に、お肉を美味しく頂こうというエゴイズムはヒトに固有な形質だとすら言えるでしょう。

科学技術が発達し、あらゆる現象が科学的に説明できるようになり始めた現代では、今まで経験則ベースで行われていた料理という行為にすら、科学のメスが入り始めています。著作『日本人の知らない日本語』で一世を風靡した蛇蔵さんのラブコメ漫画『決してマネしないでください』にも、科学の申し子たちが登場します。

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チェック柄のシャツとメガネの似合う典型的理系学生の主人公・掛田くんとその仲間たちは、日々あれこれ実験を重ねながら面白おかしく過ごしています。彼らはある日、「偽装食品」を作るべく、科学の力で食材を強引に美味しくしようと試みました。

安物ワインに「ドーピング」と「エイジング」を行って高級ワインに変身させようとしたり…

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最安値の鶏ムネ肉を高級地鶏に変えるべく、通電したりする始末。さすが漫画のタイトル通り、なかなかマネできないですね〜。

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(蛇蔵『決してマネしないでください』第2巻より引用)

しかし、味博士は科学と食のブリッジ的存在。こんな面白そうな調理法を無視するわけにはいきません。堂々とマネしてみたいと思います。そんなわけで、今回は、お肉に電気を通したら本当に高級なお味になりうるのかを調べてみました!

もちろん、味覚論争に決着をつけてくれる装置といえば!

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食べ物の味覚(甘味・旨味・塩味・酸味・苦味)を数値で表すことができる、味覚センサー「レオ」です!レオを使って、通電によるお肉の味覚の変化を調べることで、美味しさを判定してみたいと思います!

お肉にオーラが見える!?電気肉実験スタート!

お肉に電気を通す、通称「電気肉」は、お肉に電気を通すことで熟成が進み、「ATP」という物質が旨味成分である「イノシン酸」に変わり、旨味がアップして美味しくなるのだと言われています。今回の勝負は、レオによる分析で電気肉の旨味がアップしていたら勝ちと言えるでしょう。

電気肉の歴史は19世紀に遡り、元々は、死後硬直によってお肉と骨がくっついて離れない状態から、すぐに骨をはがすために電気を流して微振動を与えていたようです。それを元に、麻生大学の坂田亮一先生が中心となって『鶏胸肉の美味しさ向上のための通電装置』なるものを開発。この、このお肉専用の通電装置を使うことで、旨味がアップするほか、お肉の細胞のすき間がはっきりすることで食感も変わるようです。

実験に協力してくださったのは、サイエンスライターの川口友万さん。『みんなのための「ストレスチェック制度」明解ハンドブック』(双葉社)や『あぶない科学実験』(彩図社)など、幅広い執筆活動をされている傍で、科学実験をしながら料理を楽しむ「科学実験酒場」という面白いイベントも主催されています。

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自前の通電装置で、鶏肉と、肉以外も美味しくなるかを調べるためにマグロについて、電気肉(電気魚)を作ってみました!通電するのはなんと1万5000ボルト!これは慣れていないと危険です。心の中では皆さんにも試していただきたいとは思いながらも、一メディアとして「初心者は真似しないようにしましょう!」と言わざるを得ません。初心者は真似しないようにしましょう。またはピカチュウに「10まんボルト」をしてもらうべく、サトシに外注しましょう。

イカツイ通電装置はこちら。

151221_通電装置(1)

セッティング中の川口さん。電気を通すように飽和食塩水を注入。

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準備ができたら部屋の明かりを消し、いざ通電!

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お肉の周囲に電光が走っているのがわかります!

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写真のプロに撮ってもらうと、魔力を放ちすぎてコラ画像だと思われてしまうほどのお肉の写真が出来上がります。キルリアン写真と言います。

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もちろん、マグロの場合も同様です。バチバチと言わせながら、3分間ほど待ちます。

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こうして電気肉(電気魚)と、電気を通してない肉(魚)の準備ができました。さっそく、味覚センサー「レオ」で味覚を分析してみましょう!

味覚センサー「レオ」で電気肉を分析!

電気を通した鶏肉・電気を通さない鶏肉、および、電気を通したマグロ・電気を通さないマグロについて味覚分析をした結果がこちらになります。

鶏肉では、通電した場合に旨味が0.20ポイント

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マグロでは、通電した場合に0.36ポイント上昇していました!

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95%の人が違いを判別できる「有意差」は0.20ポイント以上なので、鶏肉、マグロどちらにおいても旨味がアップしたといえるでしょう!特にマグロは大幅に旨味が上昇いたしました。

実際食べてみても、味博士も思わず笑ってしまうほど味が違いました。

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さすがに高級肉と同レベルかと言われると怪しいところですが、確かに美味しくなったような気がします。味覚だけでなく食感の違いも楽しめるので、通電する価値はありそうです。ひとまず、お肉(やお魚)に電気を通すと旨味がアップして味が変わるというのは本当だったことが分かりました!

川口さんは「電気肉は殺菌効果もバツグンなので、レバ刺しのようなものにも応用することもできそうです」と語っています。

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電気肉は、これからお肉調理の新しい形として普及していくのか、いかないのか、全くもって未知ですが、ぜひビジュアル的にも面白くお肉を美味しくする方法として、ぜひ覚えておいてくださいませ!


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