パンダは「和食」は理解できないが「アメリカの食べもの」なら好きな可能性

■パンダが好きなのは笹だけじゃない?

白黒もふもふの動物園のアイドル、パンダ
パンダはしか食べないことが有名ですが、本当に笹だけが好きなのでしょうか。
この疑問に対して、味博士の研究所としては、もしパンダが人間界の食べものを食べた場合、
「和食は理解できないが、アメリカの食べものなら好きなのではないか」
と考えています。一体なぜだと思いますか?
今日は、パンダの味覚についてお話します!


■パンダはお肉を分解する力を持つ


動物が何を食べられるかを決める一つの要素が、からだの中の「酵素」です。

たとえば、牛乳が飲めない人は牛乳に含まれる「乳糖」を分解する酵素がない、アルコールが飲めない人はアルコールを分解する酵素がない、といったように、食べたものを分解する酵素がなければ、その食べものを「苦手だ」と思い、食べるのを避けるようになります。

では、草食動物のパンダには、お肉やお魚を消化するための酵素がないのでしょうか。
意外にも、パンダは他のクマと同じようにお肉やお魚を分解する酵素を持っていことが、ジャイアントパンダの全遺伝子解析によってわかっています。

体が分解する力を持っているのに、肉食ではない。
その謎を解明する鍵は、パンダのにありました!
実は、パンダの舌には「旨味」を感じる力が欠けているようなのです。
旨味はお肉やお魚の味を認知するために必要なもので、肉食動物には必須の味覚です。
パンダが完全な草食になったのは、旨味を感じるセンサーが進化の中で失われてしまったからだといえるでしょう。

▪︎でも実は甘党だった

このように、お肉やお魚の類を美味しいと思えなくなってしまったパンダですが、実は別の実験で「甘いものは好きかもしれない」ことも分かっています。
8頭のジャイアントパンダに、糖分を含む甘い液体と甘くない液体を飲ませたところ、8頭すべてが甘い液体を好んだというのです。
さらに、好むだけでなく、舌の細胞も糖分に反応を示していたようです。
笹にはほとんど糖分が含まれていないので、摂食において甘味を感じる力は使われていません。
それなのに甘味を感じる力が失われず残っているのは、不思議なことですね。

▪︎パンダには和食は通用しない!?

ここまでお読みいただければ、冒頭の意味がわかるのではないでしょうか。
和食は、魚介やだしの旨味を中心に発展した発展してきたものです。
もちろんすべての和食ではありませんが、多くは旨味が鍵となる料理です。
パンダは旨味を感じることができないため、そうした和食の繊細な味わいは感じ取れないことが予想できます。

一方、甘味を感じ取る力はあるため、甘いものは好きになる可能性があります。
とくにアメリカのお菓子のように強い甘味を持つ食べものであれば、はっきりと甘さを感じることができるため、より好みやすいことが予想されます。

以上が、「パンダは和食は理解できないが、アメリカの食べものなら好きなのではないか」と考えた理由でした。
もちろん、パンダに触れる機会があっても、勝手に和食やお菓子をあげてはいけませんよ!

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