それはずばり、カップコーヒーのフタである!!
ホットコーヒーを飲みたいという、いささか単純な欲求を満たすために、
カップの重さや傾きを手の感覚のみで巧みに計算し、口に流し込む量を調節させることを余儀なくされる…
嗚呼、何たるイジメ。嗚呼、この舌さえなければ…
なぜ・・・!我が舌はキャット・タンなのか・・・!
できれば・・・ドッグ・タンになりたい・・・
今日はキャット・タンこと猫舌に関する疑問にお答えしていこうと思います!
1)そもそも、なんで”猫の舌”やねん!?
その発想は正しいです。熱いものを食べるのは、ヒトしかいません。なので、ヒト以外の全ての生物は、猫舌です。そして、ドッグタンなるものはありません。
猫はヒトと生活を共にしてきた身近な動物ですね。ヒトは熱いものを食べるのに対し、猫は熱いものを食べない。その様子から、熱いものを食べられない=猫のようだという象徴が生まれたようです。
2)なんでアイツは熱いのOKで、ワイは苦手やねん!?
その不条理感、分かります。様々な食品が食べられるようになるのと同様、熱いものを食べられるかどうかも食経験によって決まります。ゆえに、幼少期から熱いものを食べる経験が少ないと、猫舌になりやすいのです。また、私たちの皮膚や粘膜には、温度を感じる「温点」というものが存在しています。温点の数は個人差があるため、多い人は熱さに敏感、少ない人は熱いものOKな舌になりえます。そのアイツはきっと、熱いものを沢山食べてきた&温点が少ないのでしょう。
3)アタイは昔は猫舌やったけど、今は治ったで!?
それはおめでとうございます。上記の理由から、子供のとき猫舌でも大人になると治ることは不思議ではありません。舌には、熱さからの刺激を和らげる「角化層」というものがあります。この角化層は大人になるにつれて厚くなってゆくのです。そのため、ある程度年齢を重ねると猫舌でなくなる人もいますし、猫舌の人でも、昔よりはマシになったと感じるはずです。
4)この間お茶をぶちまけたら火傷した!!オレは猫舌ならぬ猫体だ!!
熱い環境に生きている生物は一部の微生物ぐらいしかいませんので、ほとんどの生物は皆猫体です。というか、猫体とは呼びません。先ほど述べた温点の数は、舌と比べると身体の表面にはかなり多く存在しています。そのため、舌で熱いお茶が飲めても、皮膚に触れると熱くて耐えられないのです。ちなみに、火傷という現象は、猫舌かそうでないかによって起こりやすさが変わる訳ではありません。火傷は、皮膚組織が熱さによって変化する現象です。温点が全くない人が仮にいたとして、どんなにその人が熱さを感じなかろうと、100℃の熱湯を口に含めば、火傷するのです。
なるほど・・・
我が舌をドッグt・・否、非猫舌化させるには、角化層と温点の数がポイントか。
ある程度熱いものに慣れることはできるかもしれないが、体の中をいじるのは人智を超えた行為・・・
つまり、脱猫舌はムズカシイ・・・
しかし、熱さを感じる事が出来なければ火傷にも気づかない。
つまり、危険を察知できない!
危険を敏感に察知できる我が舌は、良い舌なのかもしれない・・・☆
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