市販されているゼリーはフルーツの味ごとに異なった色や香りがついています。
メロン味であれば緑色、イチゴ味であれば赤色。そして、それぞれの味の香り。各食材のイメージに合った色と香りが紐づいていますよね。
普段はあまり意識しない両者の関連ですが、実はこれには重大な意味がありました。
ゼリーの味は色によって感じ方が異なる
実は、ゼリーの味は実際のフルーツの味とは異なる味でも、色によってはその色が持つイメージのフルーツの味だと感じてしまうことがあります。
例えば、緑色のゼリーであれば連想されるフルーツはメロン。そこで緑色のゼリーにブドウの味をつけた場合も、メロンの味のように感じるのです。
同じ味に異なる色をつけたゼリーを3〜5種類用意し、被験者にそれぞれ食べてもらい、味を当ててもらうといった実験があります[*1]。結果、最も正解率が高かったのは「フルーツが持つイメージの色と実際の味が同じ場合」でした。
さらに、異なる味に感じられるかき氷のシロップが、全て同じ味だったという弊社味覚センサーでの実験結果も[*2]。フルーツのイメージと色の結びつきの強さがわかりますね。
色・香りがイメージと異なる場合
では、香りに関してはどうでしょうか。
実は香りも、フルーツが持つイメージとかけ離れているときは違和感が生まれます。おそらく、味に関わらず「美味しくない」と感じてしまうでしょう。
また、黄色のゼリーは酸味を多く感じるといった結果や、レモンやメロンなど味や香りが強いものは、味が色に左右されにくいといった結果も出ています[*1]。
私たちは、食べ物を味わう前に視覚や嗅覚から情報を得て、その味を予想します。食べ物を見るか見ないかで味覚感受性も変わりますし[*3]、鼻をつまむと甘味・旨味・塩味が感じにくくなったりもします[*4]。
色と味、香りの組み合わせがそのフルーツのもつイメージにぴったりあっているからこそ、市販のゼリーを美味しく食べることができるんですね。
事前にゼリーを見ず、鼻をつまんで食べてみると、いつもと少し違った不思議な体験ができるかもしれませんよ。
参考:
*1 ゼリーの色が味覚の判別に与える影響
Effects of Color on the Taste Sense of Fruit Flavored Jelly
*2 かき氷のシロップの味は“幻覚”だったのかを味覚センサーで検証してみた!
*3 味覚と視覚の関係性 目からの情報で味の感じやすさが変わる!?
*4 味覚と嗅覚から考える「食べ物の味」について