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味覚と視覚の関係性 目からの情報で味の感じやすさが変わる!?

料理において、「見た目」って結構重要ですよね。美味しそうに見える料理は実際食べても美味しいと感じやすかったりします。

とはいえ、「美味しそう」「こういう味だ」と予想していても、実際は違うこともあります。そういった際は少しだけ、味を感知するまで時間がかかりますよね。例えば以下のようなシチュエーション。

可愛い女の子から手作りのお弁当を渡され、それが彩豊かで美味しそうな場合、口に入れて、少し遅れてから「あれっ?まずい…!?」と気づきます。

もっとわかりやすいのはロシアンルーレット。わさび入りのシュークリームを食べても、少し遅れて刺激がやってきます。周りの人から見れば、口に含んでから「辛い〜!」となるまでの一瞬の“タメ”がエンターテイメントですよね。

この視覚刺激と味覚応答には、実は味ごとに差があるようなんです。

味覚に対して視覚が及ぼす影響

10名の学生を対象に、視覚刺激と味覚感受性について調査された研究[*]があります。実験ではまず80名の学生を対象に、味覚ごとにイメージしやすい食品を調査しました。得られた結果は以下のとおりです。

・甘味:ケーキ、チョコレート、アイスクリーム
・塩味:塩辛、漬物、明太子
・酸味:レモン、梅干、食酢
・苦味:コーヒー、抹茶、ピーマン

これらの食品を視覚刺激に用い、視覚による刺激のない状態とある状態の味覚感受性が調べられました。

その結果、もっとも影響が大きかったのは酸味の食品。甘味の感受性を鋭くさせ、酸味感受性を有意に鈍化させました。

これは唾液による影響だと考えられています。食べ物をイメージするなどした際の唾液分泌において、もっとも多い唾液量を誘発するのは酸味のもの。一般的に唾液の量が多いほど味を感じやすくなりますが、酸味に関しては唾液のpHやイオンの緩衝作用によって応答が減少するという報告もあるため、酸味感受性が低くなったと考えられています。

甘味食品による視覚刺激では、同一味である甘味の感受性には影響が少なかったものの、他の味覚に対する感受性を鈍化する傾向が見られました。

冒頭のイメージしやすい食品の調査において、甘味はもっとも回答数が多く、食品を連想しやすいという結果が出ています。これは視覚による影響の強さにも影響しそうです。視覚刺激から脳が甘味モードになっている度合いが高いために、他の味だと認識しにくくなっていたのではないでしょうか。

苦味食品による視覚刺激では、甘味および塩味に対する感受性が鋭くなる傾向が見られました。苦味は本能的には「毒の味」で、繰り返し食べることによって学習し好きになっていく味のため、生命維持に必要な「甘味」「塩味」への影響が強くなったのではないかと考えられています。

とはいえ苦味には色々な種類があるので、人によって好きな「苦味」は異なるでしょう。上のイメージしやすい食品ではコーヒー、抹茶、ピーマンとなっていますが、ビターチョコレートやビール、ゴーヤ、パクチーなども苦味に分類されますね。「苦いものはなんでも好き」という方はなかなかいないのではないでしょうか。この個人差が結果に影響した可能性もあります。

塩味食品による視覚刺激では、いずれの味覚感受性に対しても視覚刺激のありなしで有意な差はありませんでした。イメージしやすい食品の調査で、回答を得られにくかったのが塩味。もっともイメージがしにくい味ということです。塩味が視覚と味覚という関係において、1番フラットな存在なんですね。

ここでシュークリームのロシアンルーレットの話に戻りましょう。視覚刺激による味覚応答の鈍化が見られたのは甘味食品。つまり、甘味は口に入れてから「辛い」反応になるまでの“ため”が最も長い可能性があるのです。そして実際、口に入れたあとは甘味に染まった口の中に刺激物が入るので、反応は鋭敏になります。

ロシアンルーレットとは、計算しつくされた悪魔のゲームだったのかもしれないですね。

参考:味覚感受性に対する視覚刺激の影響

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味博士の研究所 編集部

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